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切らずに治す胃ガンのはなし

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健康チェック

福山市医師会が毎月お届けする、あなたの健康チェックのためのコラムです。


NO26
2000年8月号
切らずに治す胃ガンのはなし

福山市医師会
吉岡 敏文
(消化器科)

◆ 胃ガンの原因とその予防について 

 まだ十分にわかっているとはいえませんが、胃炎などの慢性の炎症が持続することによりガンが発生しやすくなるといわれています。食生活においては、塩分の多い食事、喫煙などがガン発生の要因とされています。逆にビタミンCやカロチンを多く含む生野菜や果物を多く食べる人に胃ガンが少ないことがわかっています。
 また、最近ピロリ菌という細菌が胃ガンや胃・十二指腸潰瘍や胃悪性リンパ腫の発生に関与していることがわかってきています。日本人には大変高率に感染が認められ、50歳以上だと実に80%の人が保菌しているといわれています。

◆胃ガンの発生と進行 
 胃ガンは胃の内面にある粘膜の細胞から発生し、何年かかかって数mm程度のガンとなります。その段階になってやっと発見可能となります。その後は、ガンの性質によって進行の早いもの遅いものさまざまですが、粘膜に沿って広がっていくものは悪性度は低く、逆に粘膜の下・筋肉の層へと下にもぐっていくものが悪性度が高いようです。転移(胃以外の臓器にまでガンがおよぶ)は、まず胃の周りのリンパ節から始まり、周囲の臓器(肝臓・膵臓・大腸・腹膜)におよびさらに進行すれば全身(肺・脳など)に転移していきます。いずれにしても早い段階で治療を受けることが重要です。

◆症状について
 胃痛・出血・胃部不快感などで、胃から出血した場合黒いコールタールの様な便が出ます。進行したガンの場合、食べ物が胃につかえる・体重が減るといった症状が出現したり、知らぬ間に貧血が進み動悸や息切れといった症状で来院されることもあります。しかし、かなり進行していても全く症状のないことも多く、胃ガンを早期に発見するためには症状ではなく定期的に検査を受ける必要があります。

◆検査について
 レントゲン検査・胃カメラの検査が一般的です。早期に発見するためには、胃カメラが有用で組織検査もできるため確定診断が得られます。いずれの検査もごく小さいガンの場合、わからないこともあり定期的に(年1回)検査を受けることをお勧めします。胃ガンが疑われるあるいは胃ガンと診断された場合、超音波内視鏡(胃カメラでガンに直接超音波をあててどれくらい進行しているか調べます)・CT・大腸の検査などで進行の具合や転移などを調べます。

◆治療について
 ごく早期のガンであれば、お腹を切らずに治す治療が受けられます。内視鏡を使って病変部だけを切除する方法で、全身麻酔を必要としない・翌日から食事がとれる・1週間ほどで退院できるなどメリットが多く、手術時間も通常30分(大きいものですと1〜2時間かかることもあります)程度で済みます。理想的な治療が受けられるのですが、そのためには早い段階で見つけてもらう必要があります。
 手術による治療は、病変の部位と進行の程度によって術式が異なるのですが、胃の2/3をとる手術・胃を全部とる手術が一般的です。手術のメリットは、リンパ節など周囲臓器に浸潤していてもいっしょにとれることです。したがって、リンパ節などへの浸潤が疑われる場合が適応となります。
 抗ガン剤による治療は、手術でもとりきれない場合が適応となります。近年、有用な抗ガン剤も見つかり、約半数に効果が認められるようになっていますが、完全にガンを消失させることは困難なようです。

◆予後その他
 胃ガンは、今や早期に発見されれば完全になおるガンの代表選手です。そのためには症状がなくとも年1回の検診(できれば胃カメラ)をうけることが重要です。

商工ふくやま2000年8月号掲載