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スギ花粉症とうまくつきあうには!

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健康チェック

福山市医師会が毎月お届けする、あなたの健康チェックのためのコラムです。


NO32
2001年2月号
スギ花粉症とうまくつきあうには!

福山市医師会
堀内 譲治
(耳鼻咽喉科)

 毎年、花粉症で苦しむ人にとってつらい時期がやってきました。今年はとりわけ近畿から中国、九州北部にかけての西日本は、昨年の3〜10倍の飛散が予想されています。そこで今回はスギ花粉症の対策についてお話します。

◆抗原を吸わない
 スギ花粉症は花粉を吸い込んで症状が起こるわけですから、それを避けるのが第一です。花粉の飛散開始日はその年の1月から毎日の気温の積算がもっとも関連し、暖かい日が多ければ早く飛び始めますが、おおよそは2月中旬が平均的です。飛散終了はだいたい4月初めです。しかし、スギとヒノキの抗原は似ており、そのままヒノキ花粉終了(だいたい4月末)まで症状が続く人もいます。花粉の飛散は気温が高く、南風が吹き、湿度が低い晴れの日というのが最高の条件で、これらの条件が揃うほど多く飛散します。また1日のうちでも、昼頃から3時頃までが最もたくさん飛びます。
 最近は新聞、インターネット等で飛散予報を知ることができますので、花粉が多く飛びそうな時は外出を控える、洗濯物を干さない、アレルギーグッズ(マスクや眼鏡)を使用するといった注意をしてください。

◆薬をうまく使おう
 従来は、花粉症の症状が現れてから、薬を使って症状を抑える対症療法が中心でした。しかし、最近は症状が現れる前から、抗アレルギー薬を服用して、症状が出てこないようにする予防的治療が基本になっています。抗アレルギー薬は、飲み始めてから効果が現れるまで1〜2週間かかります。したがって予防的治療を希望する場合は、花粉が飛散し始める2週間以上前に、医療機関を受診してください。ただ、花粉飛散量が多くなると抗アレルギー薬だけでは効果が不十分な場合があります。花粉症の治療薬として耳鼻咽喉科で使うステロイド薬は、原則として点鼻薬です。ステロイド点鼻薬はくしゃみ、鼻水、鼻閉のいずれの症状にも、優れた効果があります。しかも、使い始めてから3〜4日ほどで効果が現れてきます。ステロイド薬では、副作用がしばしば問題にされますが、ステロイド点鼻薬は、全身に薬が回る内服薬や注射薬と比べて、安全性の高い薬といえます。医師から指示された用法を守り、花粉の飛散する3〜4ヶ月間程度使用する限りは、副作用の心配はまずありません。ただし、ステロイド点鼻薬を併用しても効果のない場合は2週間ほどに期間を限って、ステロイドの内服薬を用いることもあります。鼻閉が特にひどい人では血管収縮薬を、鼻水がひどい人では抗コリン薬を使用することもあります。

◆抗体を作らせない
 原因抗原を少しずつ注射して反応を鈍らせる治療で、免疫療法といわれています。きわめて微量の抗原を週1〜2回注射をし、徐々に濃度を上げ、一定濃度に達したら、さらに2週に1回、1月に1回というふうに間隔をのばし1年から3年間つづけるという根気のいる治療ですが、約7割の患者さんに有効とされています。

◆外科的治療
 薬や免疫療法でコントロールできない場合、手術治療法を行うことがあります。レーザーや化学薬品を用いて、鼻粘膜の比較的表層組織を凝固、変質させる手術や粘膜を一部切除してしまう下鼻甲介切除術等が行われています。

商工ふくやま2001年2月号掲載