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気胸ってなに?

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健康チェック

福山市医師会が毎月お届けする、あなたの健康チェックのためのコラムです。


NO.47
2002年5月号
気胸ってなに?

福 山 市 医 師 会
むろ まさひこ
室 雅彦
(外科)

1.少年に突然襲いかかる不幸
 「あいたたた、息苦しいなあ。」中学2年生の水泳大会のあとで、突然、私に襲ってきた病気、それが気胸でした。幸い軽度であったため、安静のみで軽快しましたが、1年間、部活を休むはめになりました。(しかし、気胸に関しては、患者の痛みがわかる医師になれたと思います。)気胸とは、何らかの機序によって胸腔内に空気が侵入したことにより、肺が虚脱した状態と定義されています。

 一般的には自然気胸と外傷性気胸に分類され、さらに自然気胸を原発性(特発性)気胸と肺疾患が基礎となって生じる続発性気胸に分類します。

 15歳から20歳代の男性に多いのは原発性気胸で、50歳から60歳代の男性に多いのは続発性気胸です。症状は、突発する胸痛、呼吸困難、咳嗽などで、進行すればショック状態にもなります。

2.どうしてなるの?
 肺の胸膜の下に小さい袋(気腫性肺嚢胞)ができて、それが破れ空気が漏れるため、肺が縮みます。原発性気胸の原因は、まだ明らかではありませんが、体型異常説(細長型に多い)、先天性説、大気汚染説などがあります。続発性気胸の原因は、肺気腫、気管支喘息、肺線維症、塵肺、サルコイドーシス、肺結核、肺炎、肺癌などがあります。特殊な例では、月経時に反復する気胸で月経随伴性気胸やびまん性過誤腫性肺脈管筋腫症などがあります。

3.どうすればいいの?
 保存的療法と手術療法があります。保存的療法では、まず安静で、肺虚脱が軽度の場合はこれのみで軽快します。次に、胸腔ドレナージ法、これは胸腔の中に細いチューブを挿入して、溜まった空気を持続的に吸引する方法です。最後に胸膜癒着療法、これは胸腔内に薬剤を注入し、肺と胸膜を癒着させる方法です。保存的療法は、侵襲が少ない利点があるものの、再発率が手術療法より高い欠点があります。

 手術療法の絶対適応は、胸腔ドレナージを施行しても肺の再膨張が不良のもの、気漏が持続するもの、緊張性気胸、両側同時性気胸などです。手術方法は、現在では開胸によるものと、ビデオ内視鏡を使用した胸腔鏡下手術があります。後者は、手術侵襲が小さく、疼痛の軽減、呼吸機能の温存、入院期間の短縮、早期の社会復帰などの利点があり、近年普及しています。しかしながら、縦隔側に病変がある場合、切除範囲が広い場合、病変が多発している場合、広範に癒着がある場合には、胸腔鏡下手術は困難です。また、術後の再発率は、開胸手術の0.6%〜2.5%に比べ、胸腔鏡下手術は6.0%〜7.7%と高い傾向にあり、長期的な再発率の検討は今後の課題です。

 胸の奥がツンと痛い学生さん、最近咳が続き、階段の登り降りが息苦しいお父さん、一度専門医に相談してみてはいかがでしょうか。

商工ふくやま2002年5月号掲載