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SASってなに?

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健康チェック

福山市医師会が毎月お届けする、あなたの健康チェックのためのコラムです。


NO.61
2003年7月号
SASってなに?

福 山 市 医 師 会
みき まさみ
三木 正己
(耳鼻咽喉科)

 今 アジアを中心に猛威をふるい、人々を不安に陥れ、さらに世界経済にも多大な影響を与えそうな勢いのSARS(重症急性呼吸器症候群)の話ではありません。SAS(Sleep Apnea Syndrome)睡眠時無呼吸症候群のお話です。岡山駅で新幹線の運転士が居眠りをして停車ミスをしてしまったことから、社会的な問題としてマスコミで取り上げられ世間をにぎわせたことを、記憶されておられる方も多いのではないかと思います。また、みなさんの中にも、これらの症状が、自分に当てはまるんじゃあないかと心当たりのある方もおられるのではないかと思います。

 このSASというのは、簡単にいってしまえば、眠っている最中に止まってはいけない呼吸が、ストップするという怖い状態がひきおこされ、それが原因となり様々な悪いことが起こりうるという訳です。この病気と診断するための基準があります。7時間の睡眠時間のうちに10秒間以上続く無呼吸が30回以上ある。または、1時間の睡眠中に10秒間以上の無呼吸が5回以上といういずれかの条件をみたすものをいいます。

 呼吸というものは、無意識のうちに、横隔膜・肋間筋を動かして胸郭をひろげて、空気を鼻から吸い込み、のどから気管を経て肺に導き、酸素を血液にとりこむ一連の作業です。この呼吸が、一時的にも止まると血液の中の酸素濃度が下がり、二酸化炭素の濃度が上がります。これによって脳の呼吸中枢が刺激されて、自動的に呼吸筋に呼吸運動の命令が下り、大きく空気を吸い込むということになります。健康な人は、これらの臓器に問題がありませんのでスムースにすやすやと睡眠がとれるのですがSASの方は、どこかに問題を持っているためスムースな呼吸が出来なくて、一時的に呼吸が止まり苦しくなって大きな呼吸をし、それが大イビキになるわけです。

 この無呼吸ないし低呼吸は、呼吸中枢の障害による中枢型SASと鼻やのどなどの上気道の閉塞による閉塞型SASに分類されますが、閉塞型が大半を占めます。原因疾患としては、程度の強いアレルギー性鼻炎、鼻茸の充満したような副鼻腔炎、鼻咽腔腫瘍、大きなアデノイド、ヘントウ肥大、肥満に伴う舌の肥大などが考えられます。

 症状は、無・低呼吸とイビキ、睡眠障害による昼間の強い眠気、それによる仕事・運転中の集中力低下・ミスなどです。非SASの人は、血液中の酸素濃度は一定しているのですが、SASでは、不安定ですので、心臓・循環器・脳にも負担をかけ突然死の原因になることもあります。このような症状に心当たりのある方は、医療機関に相談してください。

 上気道の閉塞の状態を観察したり、睡眠検査(ポリソムノグラフィー)という睡眠中の呼吸状態を、酸素飽和度・口鼻胸腹部のセンサー・心電図・脳波などで評価して詳細な情報を得て、原因と程度を調べて、肥満対策の生活指導とか手術療法とか、装具とか、CPAPという麻酔のマスクのようなもので、陽圧をかけて気道をひらいて補助呼吸をさせてやる方法などがあります。
 よく眠り、目覚めぱっちりで、健康な毎日を過ごしましょう。

商工ふくやま2003年7月号掲載