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ACLSと自動除細動器をご存知ですか?

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健康チェック

福山市医師会が毎月お届けする、あなたの健康チェックのためのコラムです。


NO.63
2003年9月号
ACLSと自動除細動器をご存知ですか?

福 山 市 医 師 会
あかお まさき
赤尾 正樹
 (麻酔科)


 ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)は日本語で二次救命処置と呼ばれています。この言葉を聞いても解らない人が多いと思いますが、別の表現をするとすれば、救急車で病院に担ぎ込まれた患者を救命するための処置のことです。処置とは、皆さんが病院でよく経験される点滴、酸素投与、薬の投与から、あまりご存知ではないと思いますが、人工呼吸とそれに伴う気管挿管、除細動などが含まれます。
 二次救命処置のガイドラインは2000年にアメリカで作られたものが世界の標準として現在日本でも採用されています。このガイドラインは厳格な臨床研究によるデータに基づいた結果のみから策定された(エビデンスに基づく;evidence based medicine)ものです。既に大学では医学部の学生、看護学生にこのガイドライン2000に基づいたACLSの教育を行っています。また、各地でACLSを広める必要性を感じた医療従事者がボランティアとして講習会を開催して、一人でも多くの命を救うために活動をしています。福山でもACLS福山というグループを中心に活動しています。特に救命の最前線にいる救命士の方々の熱意にはすさまじいものがあります。また、関係する医学会(救急学会、循環器学会、麻酔学会など)がACLS講習会を開催するようになりました。
 ACLSの主眼は除細動で助かる人をいち早く診断して、一秒でも早く除細動を行い、救命することです。除細動は細動を除くことですから、細かく動いているが脈拍のない(つまり心停止状態の)心臓に電流を流して、一度細動を止めることを言います。細動が止まって一度心臓が動かなくなったつぎの瞬間に正常に心臓が動くようになるのです。
 この除細動の適応は心室細動、脈なし心室性頻脈です。この状態で1分以内に除細動を行うと、約9割の方が社会復帰できます。5分以内に行うと約5割の方が社会復帰できます。また、突然心停止となった方の多くがこの心電図の波形を示します。したがって、除細動がどこでも早くできるように除細動器を配備することによって、心停止状態になった方の多くを救命できるのです。
 この考え方から国際線航空機内に自動除細動器が配備されました。厚生労働省の通達によって、この除細動器は機内に医療従事者がいなかった場合、講習を受けたスチュワーデスが操作してよいことになっています。同じような自動除細動器が大学病院を中心として病棟に設置されるようになりました。これらの病院では講習を受けた看護師が使用してよいことになっています。
 このようにACLSを広めることによって、多くの方が救えるようになります。その活動は着実に進んでいます。福山医師会でも会長を中心に既に講習会を開催しました。皆さんにお願いしたいことは、除細動をする前に必要な人工呼吸と心臓マッサージを行う一次救命処置を行うことです。まず、家族が心停止になったら、あなたが救急隊到着まで人工呼吸と心臓マッサージを行わないと家族は助かりません。その後は救急隊が適切な処置を行い、治療を病院が継続して行います。多くの方がこの一次救命処置講習会に参加されることを切望します。そうするとあなたの家族も助かります。


商工ふくやま2003年9月号掲載