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適応障害〜環境に上手に適応できない〜

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健康チェック

福山市医師会が毎月お届けする、あなたの健康チェックのためのコラムです。


NO.46
2004年10月号
適応障害
〜環境に上手に適応できない〜


福 山 市 医 師 会
たいら としひろ
平 俊浩
(精神科)


 適応障害とは、ある社会環境にうまく適応することができず、さまざまな心身の症状が出現して社会生活に支障をきたすものをいいます。誰でも、新しい環境に慣れて適応するためには、大なり小なり苦労し、いろいろな工夫や選択をする必要にせまられるものです。それがうまくいかなくなった場合に、職場不適応、不登校などの形であらわれます。
 ストレス学説によれば、心理社会的ストレス(環境要因)と個人的素質(個人要因)とのバランスの中で、いろいろなストレス反応(心理反応、行動反応、身体反応)が生じますが、これらは外界からの刺激に適応するための必要な反応です。ところが、ストレスが過剰で長く続く時、個人がストレスに対して過敏である時に、このバランスが崩れてさまざまな障害をきたすようになります。
 適応障害の症状はさまざまで、不安、抑うつ、焦燥、混乱などの情緒的な症状、不眠、食欲不振、倦怠感、易疲労感、頭痛、腹痛などの身体症状、遅刻、欠勤、早退、粗暴行為などの行動の問題があります。悪化すると、次第に対人関係や社会的機能が不良となり、仕事にも支障をきたし、うつ状態も生じます。
 適応障害の診断には、次のような基準があります。
  1. はっきりとした心理社会的ストレスに対する反応で、3ヵ月以内に発症する。
  2. ストレスに対する正常で予測されるものよりも過剰な症状である。
  3. 社会的または職業(学業)上の機能の障害がある。
  4. 不適応反応はストレスが解消されれば6ヵ月以上は持続しない。
  5. 他の原因となる精神障害がない。
 適応障害の治療としては、まず原因となっている心理社会的ストレスを軽減することが第一です。環境要因を調整して適応しやすい環境に整え、場合によってはしばらく休養し、心的エネルギーを回復することが必要です。同時に心理的葛藤、情緒面の整理をすることや、社会適応へ向けて今後の対処行動を考えることが大切です。不安や抑うつの症状に合わせて抗不安薬、抗うつ薬の内服など、薬物療法が必要な場合もあります。
 予防としては、適度の休養や気分転換を心掛け、日頃からストレスを溜めないような生活を工夫する必要があります。相談相手を持って会話を維持すること、人といかにつきあい、自己実現するかというソーシャルスキルを身につけることが大切です。「バラエティーのある世界を持つ」「多角的な見方ができる」「人生を楽しんでいる」ことは予防に効果的です。

商工ふくやま2004年10月号掲載