Home > 健康トピックス > 健康チェック > 2005年 > 大腸癌検診の奨め

大腸癌検診の奨め

イラスト

健康チェック

福山市医師会が毎月お届けする、あなたの健康チェックのためのコラムです。


NO.90
2005年12月号
大腸癌検診の奨め

福 山 市 医 師 会
はまだ ふみひろ
浜田 史洋
(外科)

正常の大腸
 大腸は消化管のうち、小腸から肛門までの間のことで、その長さは日本人で平均160㎝くらいとされています。最初の部分が盲腸、次に上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸と続き、終わりの部分を直腸と呼びます。右の下腹部より始まり、肝臓の下を走った後、胃の下を通って、脾臓の脇を経て、左の側腹部より骨盤内に向かいます。その働きは主に水分を吸収することです。

大腸癌について
 最近この大腸の癌が増加傾向にあります。原因としては、食生活の欧米化(高脂肪、低繊維食の摂取増加)との関連が言われています。残念ながら、日本人において、癌が原因でなくなる人のうち大腸癌は男性で4位、女性で2位を占めます。しかし、早期で発見し適切な治療をすれば、克服可能な癌でもあります。早期発見の決め手は、検診を積極的に活用する事です。癌といっても早期は無症状で検査を受けないと発見は出来ません。

大腸癌の検診について
 現在、大腸癌の集団検診あるいは人間ドックのスクリーニングとして便潜血反応が用いられています。これは、大便の中に目で見て分らないくらいの微量の血液が混じっているかどうかを調べる検査です。便潜血が陽性だからと言って必ず大腸癌があるというわけではなく、例えば、痔からの出血があっても便潜血は陽性となります。また、2日続けて便を検査に出した場合、そのうちの1日分のみ陽性であった場合も2日とも陽性であった場合も、どちらの場合でも精密検査を受ける必要性は同じです。(2回のうち1回しか陽性でなかったから大丈夫ということはありません。)とにかく、大腸癌は早く治療できればできるほど治る可能性が高い病気です。まあ大丈夫と思わず検査を受けましょう。
 精密検査として大腸内視鏡検査(肛門から内視鏡を挿入し大腸を全長にわたって直接見る検査)をお奨めします。検査の準備として、当日朝に、専用の下剤を約2リットル(一升瓶1本分)飲んでいただきます。これが腸内を洗い流し、何回か下痢便として排出されると前処置が終了します。大腸がきれいになった段階で検査を開始します。実際の検査時間は、個人差がありますが、大体30分程度で終わります。検査中、腸内に空気が入りますので終了後は少しおなかがはりますが、後でおならとして排出されます。大腸内視鏡検査の利点としては、腸内の直接観察が可能であり、腫瘍性病変(ポリープ、大腸癌)の存在診断のほか、腫瘍性病変の質的診断(一部をとって細胞の検査)ができることがあります。他の検査ではまず見つからない、数ミリメートル程度の大きさの早期癌も内視鏡検査によって見つかることもあります。
 もう一つの精密検査の方法は、お尻から造影剤と空気を注入し、大腸のレントゲン写真を撮る注腸造影です。注腸造影で異常が疑われた場合は、確認のため内視鏡検査が行われます。いずれにしても、癌撲滅のため出来るだけ多くの方とお尻あいになることを我々医療者は望んでいます。

商工ふくやま2005年12月号掲載