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腫瘍マーカー
腫瘍マーカー
腫瘍マーカーとは
腫瘍には良性と悪性があり、悪性のものを一般的に"癌"と呼んでいます。癌の中にはその癌に特徴的な物質を産生するものがあります。そのような物質のうち体液中(特に血液中)で測定が出来て"癌"の診断や経過の指標となるものを腫瘍マーカーと言います。
しかし、"癌"以外の時には見られず"癌"の時のみ検出できる物質は現在のところほとんどありません。このため"癌"以外の時にも見られますが比較的"癌"の時に増加する物質も腫瘍マーカーとしています。
腫瘍マーカーの使われ方
腫瘍マーカーは"癌"の早期発見に役立つという意味での精度は高いものではありません。現状では"癌"の再発・治療効果の判定に使われているものがほとんどです。また、特定の"癌"のみに増加する腫瘍マーカーは少ないため複数の腫瘍マーカーを組み合わせて使います。
腫瘍マーカーの数値について
腫瘍マーカーの数値を判定する基準は多くの人の測定値をもとに決められています。ところが中には"癌"が存在しないにもかかわらず腫瘍マーカーの数値が高い場合や"癌"が存在しているにもかかわらず腫瘍マーカーの数値が低い場合があります。従って腫瘍マーカーの数値のみで"癌"の存在・状態を判断することはできません。"癌"の判定には他のいろいろな検査結果、症状、経過などの所見を総合的に見て行われます。
主な腫瘍マーカーと臨床的意義
- AFP
- 原発性肝癌で陽性率が高い
妊娠、肝炎、肝硬変でも増加する - AFP-L3
- 肝細胞癌で陽性率が高い
- BCA225
- 再発性乳癌で陽性率が高い
- CA125
- 卵巣癌で陽性率が高い
子宮内膜症、妊娠、生理でも増加する - CA15-3
- 乳癌の再発、転移の検出に有効である
- CA19-9
- 膵臓癌、胆嚢癌をはじめとする各種消化器の癌で増加する
血液型のひとつであるルイス抗原の影響を受ける
ルイス抗原陰性者(日本人の約10%)では、癌が存在しても測定値下限に近い値を示すとされている - CEA
- 大腸癌をはじめとする消化器の癌、膵癌、肺癌など、様々な臓器由来の癌の転移、進行度により増加する
加齢、喫煙によって軽度増加が認められる - CYFRA
- 肺癌、特に扁平上皮癌で陽性率が高い
- Dupan-2
- 膵癌、胆道系癌、肝臓癌で増加する
- hCG
- 卵巣癌、肺癌、絨毛癌などで増加する
多胎妊娠、胞状奇胎でも増加する - HER2
- HER2/neu遺伝子過剰発現乳癌に有効である
- NCC-ST-439
- 乳腺、肺、胃、大腸、膵臓、胆道系などの癌で増加する
- NSE
- 神経芽細胞種、褐色細胞種、肺小細胞癌で陽性率が高い
- PIVKAⅡ
- 原発性肝癌で陽性率が高い
- PSA
- 前立腺癌で陽性率が高い
前立腺肥大症、前立腺炎でも増加する - Pro GRP
- 肺小細胞癌で陽性率が高い
- SCC
- 子宮頚部、肺など各種臓器の扁平上皮癌で増加する
- SLX
- 肺腺癌、卵巣癌、膵臓癌で増加する
- STN
- 卵巣癌、再発の胃癌で陽性率が高い