~ Topics ~ AMRに注意!薬剤耐性(AMR)を持った細菌が増えています!
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薬剤耐性(AMR)とは?
細菌やウイルスによって引き起こされる病気を感染症といいます。このうち、細菌による感染症の治療薬を抗菌薬(薬剤)と呼びます。最近、これらの抗菌薬が効かない「薬剤耐性(AntiMicrobial Resistance:AMR)」を持った細菌が増え、世界的に問題となっています。AMRを持った細菌が増え続けると、抗菌薬が効かないことから、これまで、感染、発症しても簡単に治った感染症の治療が困難となり、また、重症化する恐れもあることから、多くの死者を招く結果となります。特に、乳幼児や妊婦、高齢者に対してはさらなる脅威となります(図1)。この状態を何も対策をとらないで放置しておくと、2050年には1,000万人の死亡が想定されるとの試算も示されています(図2)。
増えるのはなぜ?
薬剤耐性が増える理由として以下のことが考えられます。
- ウイルスが原因の感染症に抗菌薬を処方する(効かない)
- 少し良くなってきたから抗菌薬の服用を自分の判断で止める
- 必要のない抗菌薬を安心目的で医師に要求する
- 決められた服用量、回数、期間を自分で勝手に変更する
- 余った抗菌薬を保存しておいて同じような症状が出たときに飲む
このような中途半端な使い方をすると抗菌薬の攻撃に耐え抜いた細菌が残り、増えていくのです。(図3)。
拡散を防ぐには?
薬剤耐性の拡散を防ぐためには以下のことが考えられます。
- 抗菌薬を必要とする病気にかからないように注意する
- ウイルスによる感染症などに効かない抗菌薬を処方しない
- 医師や薬剤師の指示を守って服用する
- 日ごろから必要に応じて手洗いやマスクの着用など、自ら感染症を予防する努力をする
対策は?
「薬剤耐性対策とワンヘルス(One Health) アプローチ」
ワンヘルスには一つの健康という意味があります。ヒトの健康を守るためには、動物や環境にも気を配った取り組みが必要との考え方をワンヘルスといいます。人も動物も環境もすべてが同じように健康であることが大切というわけです。この理念に基づき、世界保健機構(WHO)を中心に、わが国をはじめ、世界のすべての国において薬剤耐性(AMR)対策が推進されています。
啓発・普及キャッチフレーズ?
「あなたの"リスク"は ほどよい"クスリ"」
このキャッチフレーズは、平成28年11月に開催された「薬剤耐性(AMR)対策推進国民啓発会議」で決定されました。私たち一人ひとりが、適切にクスリを使用することが重要であり、これにより薬剤耐性(AMR)のリスクを減らし、いのちを守ることにつながることを意味しています。
薬剤耐性(AMR)に関する全国的な普及を推進するために、平成28年度から毎年11月が「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」に設定されました。
【参考資料】
- 抗菌薬が効かない「薬剤耐性(AMR)が拡大」:政府広報オンライン https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201611/2.html
- ワンヘルスアプローチ:AMR Clinical Reference Center http://amr.ncgm.go.jp/general/1-7.html
- Review on Antimicrobial Resistance:Chaired by Jim O'Niell, December 2014
- ANTIBIOTIC RESISTANCE THREATS in the United States, 2013