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16.皮膚に見られる孔(瘻孔...ろうこう)

お母さんが知っておきたい子供の病気
外科編

はじめに

  1. おなかが痛い
  2. 嘔吐
  3. 血便
  4. そけいヘルニア・陰嚢水腫
  5. 臍ヘルニア
  6. 包茎
  7. 停留精巣
  8. 睾丸捻転症
  9. 便秘
  10. 白い便
  11. お腹が大きい
  12. 胸のへこみ
  13. 腕を動かさない
  14. やけど
  15. 異物誤嚥
  16. 皮膚に見られる孔(瘻孔)

あとがき

 ふつうはない皮膚の孔がおしりや肛門、耳の前方、頸などにみられることがたまにあります。さらにこれらの孔から分泌物がみられたり、時には化膿して膿が出たりすることもあってお母さんたちがびっくりして外来を訪れてこられます。

 これらの孔のうち比較的よく見られるものについて説明します。

 耳の前方に小さな瘻孔(ろうこう)が開いていることはそれほどまれではあり
ません。しばしば両側にあることもありますし、家族にも同じような孔がみられることもあるようです。これは耳前瘻(じぜんろう)(図17)と呼ばれる生まれつきの異常です。孔の周りを押さえると少し悪臭のある分泌物が押し出されてきたり、真っ赤にはれておできのようになって自壊排膿することもあります。分泌物がみられるような場合は孔の奥に袋(耳前嚢胞―じぜんのうほう)があり、そこに皮脂が溜まり、それに感染することが多いので早めに手術によって袋を取り除くのが賢明です。手術は感染していなければそれほど難しくはなく、創もほとんど目立ちません。

 おしりのところ、ちょうど尾骨の付近正中に皮膚のくぼみがあることがあります。これは仙尾部皮膚洞(図18)とよばれます。ふつうは分泌物もなく、心配するものではありませんが、稀にこのくぼみが脊椎に及んでさらに神経管まで通じていることがあります。そういった場合にはこのくぼみの感染が神経管まで及んで髄膜炎を併発する可能性が出てきます。また二分脊椎という脊椎神経に支障を来す病気を伴っていることもありますので、あまり軽くみない方がいい疾患です。深いくぼみの場合にはMRIなどの画像診断で脊椎との関連を調べておくのがいいと思います。

 最後に肛門の瘻孔(ろうこう)、痔瘻(じろう)があります。大人の痔瘻は難治性のことが多いのですが、赤ちゃんの痔瘻は再発を繰り返しながらですが、1歳頃までに自然に治ってしまうことが多いので乳児痔瘻と区別されています。ふつうは3,4ヶ月頃の赤ちゃんの肛門の左右側方におでき(肛門周囲膿瘍)の形で発症します(図19)。肛門からは1cmも離れていませんし、不思議なことにほとんどの場合男の子に限られています。

 膿瘍の場合は切開排膿しますが、その後は瘻孔を形成することが多いようです。圧迫や時に掻爬(そうは)などをしながら再発を数回繰り返すうちにいつの間にか瘻孔が閉じ、膿も出なくなり治癒します。1歳を過ぎても治らないものは手術になりますが、ほとんどそんなケースはありません。あまり深刻に考えずに気軽に構えておくのがよいと思います。

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