7.停留精巣

お母さんが知っておきたい子供の病気
外科編

はじめに

  1. おなかが痛い
  2. 嘔吐
  3. 血便
  4. そけいヘルニア・陰嚢水腫
  5. 臍ヘルニア
  6. 包茎
  7. 停留精巣
  8. 睾丸捻転症
  9. 便秘
  10. 白い便
  11. お腹が大きい
  12. 胸のへこみ
  13. 腕を動かさない
  14. やけど
  15. 異物誤嚥
  16. 皮膚に見られる孔(瘻孔)

あとがき

 睾丸は元々は腎臓などと同じ背中部分、後腹膜というところにありますが、ホルモンの作用によって陰嚢に向かって下降してきます。十分にホルモンを出せないような未熟な睾丸や機械的に障害がある場合睾丸はその下降の道のどこかでとどまってしまいます。これが停留睾丸です(図10)。時には卵巣のように腹腔内にあることもありますが、ふつうは腹壁外、そけい部辺りにまで降りていることが多いようです。両側性は少なく、大抵は片側性です。以前は4,5歳で降りていなければ手術と言われていましたが、睾丸がお腹に近いところにあるとその分高体温であることからの影響でかなり早い時期から萎縮が始まることがわかり、今では1歳頃には手術をしてでも睾丸を陰嚢内に納めた方がよいとされています。睾丸を降ろすことによって萎縮を防いだり、また将来こういった停留睾丸から発生しやすいとも言われている悪性腫瘍の早期発見にも役立つといったメリットもあります。手術は睾丸を剥離するとともにその血管と精管を延長させることによって陰嚢まで引き下ろす訳ですが、腹腔内睾丸を除けばほとんどの場合引き下ろしは可能です。約1時間の手術で入院期間は4日前後です。一番の心配は将来の不妊の可能性ですが、確かにふつうの睾丸の場合に比べ、停留精巣では不妊率が高いと言われており、特に両側性の場合は高率と考えなくてはなりません。それにしてもちゃんとおろせるものは降ろしておく方が改善が期待できるのは間違いありません。

 注意しなくてはならないのは、移動性睾丸といって睾丸はちゃんと降りているのですが、移動範囲が大きいため一見陰嚢内にないように見えることがあります。ふつうでも睾丸は睾丸挙筋という筋肉に包まれていて、上がったり下がったりしているもので、陰嚢をつかんでみても睾丸がそこに触れないことは正常でもよくあることです。一番分かりやすいのはお風呂に入ったときなどの睾丸挙筋の緊張が一番とれたときに触ってみるのがいいと思います。移動性睾丸ならふつう手術は必要ありません。どちらかよくわからなくて心配ならやはり小児外科か小児泌尿器科に相談されるのがよいと思います。この病気は一般的には緊急疾患ではありませんが、時機を失することなく治療するべき疾患であることは知っておく必要があります。

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