いきいき健康メール (2013年5月号)
2013年5月10日発行号
◎溶連菌感染症にご注意を!
最近、小児科外来で溶連菌感染症が増えてきました。昔から初夏に流行する
と言われていましたが、近年は年中を通して小流行がみられるようです。
「溶連菌(ようれんきん)」とは、A群溶血性連鎖球菌という細菌の一種で
あり、感染により急性咽頭・扁桃炎、とびひ等を引き起こします。
急性咽頭・扁桃炎は、年長幼児から学童を中心にみられ、のどの痛み、発熱
、小児では嘔吐・腹痛をしばしば伴います。咽頭は発赤・腫脹し、イチゴ舌、
頸部リンパ節の腫れなどを認めます。中には、皮膚に砂状の紅色発疹が広範囲
にみられる場合があり、これを「猩紅熱(しょうこうねつ)」と言います。ま
た、とびひ(伝染性膿痂疹)の原因の一つでもあります。これからの季節は発
汗が増え皮膚が湿潤していることが多く、さらに虫さされなどで掻いたところ
が「とびひ」となることもよくあります。
溶連菌は、唾液や鼻汁を介した飛沫感染及び接触感染により流行するので、
家庭内や学校内で感染が起こりやすく、予防には手洗いが有効です。
近年は、小児科や内科の外来で、溶連菌迅速検査が可能となりました。咽頭
のぬぐい液を採取し、短時間で感染の有無が判断できます。
治療としては、特定の抗生剤を数日間内服する方法が確立しており、抗生剤
内服開始後24時間を経過すると感染力は消失するため、全身状態が良ければ
登校・登園が可能となります。一方で適切な治療が受けられなかった場合は、
感染が持続し、それにより腎炎やリウマチ熱などの合併症に至ることもありま
す。的確な診断と治療を行うことで、合併症を来すことなく短期間の自宅療養
で治る病気です。特に集団生活(保育所・幼稚園・小学校)をされている子ど
もさんの場合は、周囲の流行に注意され、疑わしい場合は早めの受診をお勧め
します。