いきいき健康メール (2014年2月号)
2014年2月10日発行号
◎タバコ
ここ20?30年、日本における禁煙はかなり進んできていると感じていま
す。今、福山における禁煙活動は、完全に満足できる状態ではありませんが、
年々喫煙者が減っている事は喜ばしい事であります。
先日、所属する大学の教室に中国から留学している医師のボス(教授)が来
岡されました。その時のおみやげが、ダンヒルのタバコ1カートンであったの
には教室員皆驚きましたが、思い出してみますと、40年前は日本においても
外国へ行った帰りのおみやげは免税のタバコとウイスキーと決まっていました
。
タバコを止められない理由として、タバコは多少体に悪いのだろうがまわり
の人たちがたくさん吸っているし、それ程ではないのだろうという意識の低さ
が挙げられます。
確かにタバコに対して合う人、合わない人があります。少々タバコを吸って
もさほど肺気腫が進まない人、少し吸っただけで急速に肺気腫の進む人とあり
ます。急速に肺気腫が進む人は約15%いると言われています。今、この人た
ちを遺伝子で見つけることができないか研究中でありますが、この遺伝子を見
つけるにはまだまだ時間が必要です。
この15%を大きな数字と考えるか、わずかの確率と考えるかは個人差があ
ると思われます。例えば、交通量の多い国道に大型トラックが何台も走ってい
る中、急に道路に飛び出し、85%の確率でトラックが止まり、15%の確率
ではねられるとします。はねられる確率が15%だからといって飛び出すでし
ょうか。タバコを吸うということは道路に飛び出すことです。タバコを止めれ
ば飛び出さずにすみます。
タバコの肺に対する直接の害は、肺気腫と慢性気管支炎です。慢性気管支炎
の症状は咳と痰ですが、気管支粘膜は3ヶ月で入れ替わると言われていますの
で、タバコを止めると日々咳と痰は少なくなってきます。理論的にはタバコを
止めて3ヶ月経ったら慢性気管支炎は治るということになります。
肺気腫は肺胞壁の破壊がおこり、一旦破壊された肺胞壁は再生されることな
く、肺気腫はタバコを止めても治りません。しかし、タバコを止めると肺気腫
の進行は止まります。
禁煙場所を広げるだけではなく、喫煙者本人がタバコを止められるように指
導していく必要があると思っています。従来のニコチンパッチによる禁煙指導
では成功者は2人に1人も出ていませんでしたが、チャンピックスでは4人に
3人以上が成功しています。
本年はタバコの害で苦しんでいる人が一人でも少なくなってほしいと思って
います。