いきいき健康メール (2015年12月号)
2015年12月10日発行号
◎知っていますか? アニサキスは届出感染症
近年内視鏡検査の普及とともに、生検鉗子での虫体摘出が可能となり、多数
のアニサキス症例が発生していることが明らかになりました。診断技術の高度
化に並行して、生鮮食料品の輸送体系が近代化されたことが、アニサキス症例
の多発と広域化につながっているようです。
サバ(加工品としての「しめ鯖」を含む)が最も重要な感染源と考えられま
すが、その他アジ、イワシ、イカ、カツオ、サンマ等も感染源になる機会の多
い魚介類として注意が必要です。
魚介類の生食後、数時間して激しい上腹部痛、悪心、嘔吐をもって発生する
のが胃アニサキス症の特徴で、食歴に関する問診と臨床症状から、胃アニサキ
ス症が疑われる場合は胃内視鏡検査で虫体を探索して、検出虫体の形態から確
定診断します。
平成24年12月28日の食品衛生法施行規則の一部改正で、アニサキスが
食中毒の病因物質の種別として、食中毒事件票に新たに追加されました。既に
平成11年12月28日の同法施行規則の一部改正で、アニサキスは食中毒の
原因物質として食中毒事件票に例示されていましたが、今回の改正では食中毒
患者の発生状況を的確に把握する等を目的としています。従って、アニサキス
による食中毒が疑われる患者を診断した医師は、24時間以内に最寄りの保険
所に届け出ることが必要です(食品衛生法第58条・中毒に関する届け出)。