いきいき健康メール (2017年7月号)
2017年7月10日発行号
◎痛み
皆さんの中にも「慢性疼痛」で悩まれている方がいるでしょう。
最近、その「痛み」自体が病気として認識されていることを知りました。実は
我々を含め医療スタッフはこれまで「痛み」に関する教育を充分に受けていな
いためか「痛み」に対する理解が足りないことが問題のひとつに挙げられます。
原因が何であっても持続する耐え難い痛みは睡眠や精神障害、体動制限などを
惹起させ生活の質にまで影響を及ぼします。痛みの管理は世界保健機構などを
通じて「基本的な人権」という概念にまで発展しており、その中には「痛みの
ある誰もが訓練された医療従事者の適切な評価と治療を受ける権利がある」と
して発表されています。
日本人の約40%が慢性疼痛をもつ(平均年齢57.7歳)といわれています。高齢
化社会に伴い、またがん患者や虚血肢など慢性疾患の増加に伴って医療用麻薬
の消費量は増加してくるでしょう。ところが本邦では保険査定により慢性疼痛
の医療用麻薬の処方が打ち切られているのが現状で、適応が限られているうえ
実際処方したくてもできない状態です。欧米では医師ならば一般的なクリニッ
クでも医療用麻薬を処方できるのに対して、本邦ではクリニックではまず処方
されることはありません。厚労省が非協力的なのは使われない場合は彼らに責
任はないが使って問題が起こった場合には責任を取る必要があると考えている
からではないでしょうか。
実際、中には精神的な「不安」や「圧迫感」など漠然とした症状もあり、一概
に「痛み」と診断できるわけではなくあくまで「痛みの評価」が重要なのです
が、我々医療者サイドのこれまでの不勉強さとお役人さんたちの姿勢が適切な
慢性疼痛の治療を受けることのできる機会を放置しているのだと思います。