いきいき健康メール (2018年10月号)
2018年10月10日発行号
◎A型肝炎の流行と感染予防
このほど、厚生労働省は「A型肝炎患者の報告数増加に伴う注意喚起について
」の通知を出しました。
通知によると、本年第1週から第24週(6月11~17日)におけるA型肝
炎患者の報告数は417件で、例年の年間約100~300件と比べて、約3
~8倍と大幅に増加しています。
発生状況については、都市部を中心に、国内の複数の地域で報告があります。
感染経路としては、食事などによる経口感染のほかに性的接触があることです。
特に、本年第1~24週の報告例で推定される感染経路として性的接触が多い
ことが挙げられています。
日本性感染症学会、日本エイズ学会、日本感染症学会などは、A型肝炎を性感
染症と位置付けています。
A型肝炎は感染症法では4類感染症に規定されており、医療機関は診断した場
合には直ちに最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければなり
ません。感染経路として性的接触が疑われる場合には、梅毒やHIV感染症など、
性的接触により感染する他の疾患の重複感染にも留意が必要となります。
60歳以下のほとんどの日本人はA型肝炎に対する免疫を持っていません。感
染者の同居者やパートナーなど、特にA型肝炎ウイルスへの曝露リスクが高い
人への対応としては、A型肝炎ワクチン(不活化ワクチン)の接種が推奨され
ていますので、最寄りの医療機関にお尋ねください。
文責:福山市医師会 感染症対策委員 坂田達朗