Home > メールマガジン > いきいき健康メール > 【感染症情報】クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)

【感染症情報】クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)

【いきいき健康メール】(2020年5月号)
2020年5月8日発行号
◎クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI) 人には、多くのバクテリアが共存していることをご存じでしょうか。 消化管には、1000種類以上、数にして100兆以上、重さにして1~2kgのバクテリアが共生しており、腸内細菌叢(腸内フローラ)と言われています。人を構成する細胞数は、約37兆と言われており、腸内細菌が人に寄生しているのではなくて、腸内細菌に人が寄生しているといっても過言ではない数になります。 この腸内細菌フローラが壊れると起こるのが腸炎であり、その中でも重篤になりやすい腸炎にクロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)という腸炎があります。 この腸炎は、主に医療行為がきっかけでおこるもので、抗生物質の使用が原因です。従って、この病気にならないようにするには、不用意に抗生物質を使用しないことです。そのためにも、風邪を引いたときに、抗生物質を飲まないことが肝要です。風邪の原因は、ほとんどがウイルス疾患であり、抗生物質はウイルスには効きません。むしろ、正常な腸内フローラを破壊するのみで、副作用しかおこらないことになりかねません。 なお、CDIの治療は、現在なんらかの抗生剤を使用している時にはそれを中止して(中止できなこともありますが)、CDに対して効果のある、特殊な抗生剤を使用します。多くの方は、これで治りますが、治りにくいCDIには、糞便移植という方法があります。正常な人の便を、大腸に移植する治療です。アメリカ、オランダ、中国などには糞便バンクがありますし、日本でも糞便バンクの設立のうごきがあります。 文責:福山市医師会 感染症対策委員 平田 教至