【いきいき健康メール】(2024年10月号)
2024年10月10日発行号
◎50歳以上の方に帯状疱疹ワクチン接種を推奨します
テレビCMで、帯状疱疹とワクチンについての情報をご覧になっている方も多いかと思います。
帯状疱疹は、体内に潜在する水痘・帯状疱疹ウイルスが活動を再開することで発症します。子どもの頃に、このウイルスにはじめて感染すると、水ぼうそう(水痘)を発症します。そして、水ぼうそうが治った後も、ウイルスは脊髄から出る神経節という部位に潜んでいます。普段は体の免疫力によってウイルスの活動が抑えられているため発症することはありませんが、何らかの理由で免疫力が低下するとウイルスは再び活動、増殖しはじめます。そして、ウイルスは神経の流れに沿って神経節から皮膚へと移動し、皮膚に帯状に発疹や痛みが出る帯状疱疹を発症します。
日本の成人のおよそ9割は体内に水痘・帯状疱疹ウイルスを持っていると考えられ、50歳以上になると発症率が高くなり、日本では80歳までに3人に1人が帯状疱疹を発症すると言われています。
帯状疱疹は免疫力の低下によって発症するため、予防にはバランスのとれた食事、十分な睡眠、適度な運動やストレスを減らすなど免疫力を低下させないような日頃の体調管理が重要です。
帯状疱疹を発症した場合は、抗ウイルス薬で治療を行うことが出来ますが、皮膚症状が治った後も、長い間痛みが残る帯状疱疹後神経痛(PHN)を来す可能性もあります。実は、私も3月に顔面に帯状疱疹を発症し、半年経過した現在も三叉神経痛に悩まされています。抗ウイルス薬は、できるだけ早期の投与が効果的といわれていますので、水疱や痛みが出現したときは、できるだけ早い受診をお勧めします。
帯状疱疹はテレビCMで報道されているようにワクチンで予防できます。
水ぼうそうに罹患したことがある人は、すでに水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を獲得していますが、年齢とともに減弱してしまうため、改めてワクチン接種を行い、免疫を強化することで帯状疱疹を予防できます。帯状疱疹の発症を完全に防ぐものではありませんが、たとえ発症しても症状が軽くすむという報告があります。
私はワクチンを接種していなかったことを後悔しています。
帯状疱疹ワクチンは、主に50歳以上の方を対象としたワクチンで、下表のごとく、現在2つの製剤があり、効果や接種対象などに違いがあります。任意接種であるため、全額自己負担となります。
文責:福山市医師会 感染症対策委員 坂田 達朗