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2024年11月号

最近の感染症情報

現在、福山市内にて小児の間で流行している感染症を、感染頻度の高い疾患順にお知らせします。

  1. 感染性胃腸炎・・・・・・・・・・・・横ばい
  2. 手足口病・・・・・・・・・・・・・減少傾向
  3. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎・・・・・減少傾向
  4. 突発性発しん・・・・・・・・・・・増加傾向
  5. マイコプラズマ肺炎・・・・・・・・減少傾向
  6. 流行性角結膜炎・・・・・・・・・・減少傾向
  7. インフルエンザ・・・・・・・・・・横ばい

 続いて、新型コロナウイルス感染症、RSウイルス感染症などが少数報告されています。

*インフルエンザ予防接種の時期になりました

 インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が比較的急速に現れるのが特徴です。時に肺炎になったり、まれに急性脳症を起こして生命にかかわる重症な状態になることがあるので注意が必要です。季節性インフルエンザは日本では例年12月~3月が流行シーズンで、いったん流行が始まると、短期間に多くの人へ感染が拡がるため、10月頃からワクチン接種を考えることになります。
 インフルエンザワクチンは接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではありませんが、全体で60%程度、乳幼児では20~60%程度の発症予防効果があり、重症化の予防に関する有効性もあるとされます。昨年までは注射タイプのワクチンしか使用できませんでしたが、今年からは2歳から18歳までの子どもには、鼻の穴の中に吹きつけるスプレータイプのワクチンも使用できるようになりました。接種回数はシーズンごとに1回で、注射の必要がないため痛みをいやがる子どもでも使える、と期待されています。発症予防効果は今までの不活化ワクチンとほぼ同じということです。
 一方で、従来のワクチンは毒性をなくした『不活化ワクチン』であるのに対して、スプレーのワクチンは毒性の弱いウイルスを使った『生ワクチン』であることに注意が必要です。飛沫又は接触によりワクチンウイルスの水平伝播の可能性もあり、喘息や免疫不全の方、周囲に授乳婦や免疫不全の方がいる場合などは、今までの注射タイプのワクチン接種が勧められています。詳しくはかかりつけ医に相談ください。2411_1.gif

今月のトピック

神経発達症(発達障がい)と限局性学習症(学習障がい)の早期発見

 不登校ややる気の喪失の一因として、神経発達症と限局性学習症が注目されています。
加茂小中学校でスクールカウンセラーとして対応しておられる公認心理師の辻圭位子さんにお話しをお聞きしました。
「神経発達症は、早期に発見し、適切な支援に繋げていくことが重要です。1歳半及び3歳児検診での発見に頼るだけでなく、身近な保護者の方や周囲の方が正確な知識を基に早い時期から気付くことが大切です。一般に保護者が育てにくさを感じていることが特徴です。「夜よく泣いて寝ない」「じっとしていない」「かんしゃくをよく起こす」「言葉の発達が遅い」「友達と関わろうとしない」などの理由から保護者の負担が大きくなり日常生活にも影響が出てきます。
 限局性学習症は、知的発達は遅れがないのに読み書きや計算が不得意です。早期発見が大切で、小学校入学後の早い段階で気づくことができるとよいでしょう。「ひらがな・カタカナがなかなか習得できない」「10までの数の分解と合成が習得できない」など、流暢に会話はでき、語彙は豊富なのに、読み書き・算数の特定した何かが難しいことが特徴です。」とご解説いただきました。心配な場合は専門家に相談してみましょう。

文責:福山市医師会 学校保健委員 吉田壮一

おくすり一口メモ

乳幼児の発熱時に使うお薬の注意点(その③)~解熱剤の副作用~ -福山市薬剤師会-

 乳幼児に使用する解熱剤として使われる、アセトアミノフェンとイブプロフェンについて解説します。
アセトアミノフェンの副作用としては、アレルギー反応によって発疹やかゆみが現れることがあります。また、まれに肝障害が挙げられます。特に過剰投与や長期使用により肝臓に負担がかかり、肝機能障害や黄疸などが起こる可能性があります。
 一方、イブプロフェンの副作用には胃腸障害や腎機能への影響があります。胃痛や吐き気、嘔吐といった症状が出やすく、特に空腹時の服用でリスクが高まるため注意が必要です。また、アレルギー体質の子どもでは、まれに気管支喘息の発作を引き起こすことがあるため、喘息持ちの乳幼児には医師の指示がない限り避けるべきです。
 さらに、解熱剤を使った後にぐったりしている、顔色が悪い、目が充血するなどの異常が見られた場合は、すぐに使用を中止し、医療機関に相談することが大切です。また、薬を併用する際は成分が重複し過剰投与となるリスクもありますので、必ず薬剤師や医師に確認しましょう。
 乳幼児は肝・腎機能が未発達のため、正しい用法・用量を守ることが第一です。