2024年9月号
最近の感染症情報
現在、福山市内にて小児の間で流行している感染症を、感染頻度の高い疾患順にお知らせします。
- 手足口病 ・・・・・・・・・減少傾向
- 感染性胃腸炎 ・・・・・・・横ばい
- 角結膜炎 ・・・・・・・・・横ばい
- 新型コロナウイルス ・・・・減少傾向
- 溶連菌感染症 ・・・・・・・減少傾向
続いて、RSウイルス感染症などが少数報告されています。
※定点報告数、定点あたり報告数と定点把握対象疾患
定点報告数
五類感染症のうち、新型コロナウイルス感染症や手足口病などの感染症は、定点把握対象疾患(一覧)といいます。これらの感染症発生状況を把握のために、医療機関の中から選ばれた定点医療機関から、感染症発生時に保健所に届け出がなされます。疾患内容と人口規模により地域の定点医療機関数が決められ、福山保健所管内であれば、新型コロナウイルス定点は18か所、小児科定点は11か所、などとなっています。これら定点医療機関からの1週間(1か月)の報告総数が定点報告数です。
福山市保健所保健予防課からの提供により、定点報告数を福山市医師会のホームページに転載しております。福山地域の各感染症の発生数の比較や、各週(各月)の変化を知ることができますので、情報に関心のあるかたは是非ご覧ください。
定点あたり報告数
定点あたり報告数は対象となる感染症について定点報告数を定点数で割った値で、言いかえると一つの医療機関あたりの報告数になります。人口規模の違いが修正されるため、各地域の比較や流行状況を把握する場合に使われます。各感染症の警報・注意報の開始・終息の基準もこれによって決められます。
当ページの冒頭の『福山市内にて小児の間で流行している感染症を、感染頻度の高い疾患順にお知らせします。』の内容は、福山市保健所保健予防課による定点あたり報告数に基づいております。こちらも是非ご参考にしてください。
定点把握対象疾患(週別対象)
●インフルエンザ/新型コロナウイルス定点
インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症
●小児科定点
咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、水痘、手足口病
伝染性紅斑、突発性発しん、ヘルパンギーナ、流行性耳下腺炎、RSウイルス感染症
●眼科定点
急性出血性結膜炎、流行性角結膜炎
●基幹定点
細菌性髄膜炎、無菌性髄膜炎、マイコプラズマ肺炎、クラミジア肺炎、感染性胃腸炎
※他に月別対象の定点把握対象疾患もあります
今月のトピック
耳そうじはした方がいいか?しない方かいいか?よりもやりすぎない!
耳そうじは、やりすぎないことが大切です。耳垢には自然に耳の外に排出される仕組みがあります。そのため、耳の奥深くまで掃除する必要は普通ありません。外耳道の深部、特に鼓膜に近い部分は粘膜が薄く、過度な掃除は耳の炎症や感染症のリスクを高めます。
耳そうじをする際は、お風呂上がりに耳の入り口付近を綿棒で軽く拭き取る程度にしましょう。また耳かきを使うのが好きな人も、強く掻きすぎないように注意しましょう。耳垢を奥に押し込む可能性もあるため、慎重に行いましょう。
また乾燥耳の子供さんは、耳の中が乾燥しやすく、痒みを感じることがあります。この場合、保湿剤を使うことで耳の乾燥を防ぎ、快適な状態を保つことができます。
耳の健康を守るために、耳そうじは適度に行い、やりすぎないよう心がけましょう。
文責:福山市医師会 学校保健委員 堀内譲治
おくすり一口メモ
乳幼児の発熱時に使うお薬の注意点(その①)~解熱剤の種類、適切な投与方法と注意点~ -福山市薬剤師会-
乳幼児の発熱に対して使用される解熱剤には、主にアセトアミノフェンとイブプロフェンの2種類があります。アセトアミノフェンは生後3か月以上の乳幼児に使用でき、発熱や軽い痛みに有効です。イブプロフェンは生後6か月以上で使用可能で、炎症を伴う痛みや高熱に効果的です。
ただし、医療機関を受診して処方箋でもらえるお薬です。市販薬には3歳未満が使える解熱剤はありません。また、市販薬は商品ごとに対象年齢が異なるため、必ず記載されている用法用量を確認しましょう。
乳幼児の解熱剤の服用は、年齢や体重に応じた適切な用量であることが重要です。多く服用してしまうと副作用のリスクが高まります。明らかに吐き出したか分からない、飲ませたか分からない場合は追加で飲ませずに投与間隔を厳守し、4~6時間後に発熱や痛みがあれば服用させましょう。発熱が続く間は毎日使っても大丈夫です。ただ、解熱剤は症状を和らげる力はありますが、病気自体を治すわけではないため、発熱が何日も続く場合は受診を検討してください。
次回は、解熱剤の効果が出る目安時間についてお話します。