2024年10月号
最近の感染症情報
現在、福山市内にて小児の間で流行している感染症を、感染頻度の高い疾患順にお知らせします。
- 手足口病・・・・・・・・・・・・・・減少傾向
- 感染性胃腸炎・・・・・・・・・・・・減少傾向
- A群溶血性レンサ球菌咽頭炎・・・・・増加傾向
- 新型コロナウイルス感染症・・・・・・横ばい
- 突発性発しん ・・・・・・・・・・・横ばい
- ヘルパンギーナ・・・・・・・・・・・減少傾向
- RSウイルス感染症・・・・・・・・・減少傾向
続いて、マイコプラズマ肺炎などが少数報告されています。
*マイコプラズマ感染症の流行に注意しましょう。
マイコプラズマは主に小学生以上のこどもに肺炎を起こす病原微生物です。時には就学前や成人に起こることもあります。ここ数年、特に新型コロナウイルス感染症流行後は感染症への対策により、マイコプラズマ肺炎はほとんど見られませんでしたが、今年の夏ごろから久しぶりの流行が始まったようです。福山市保健所管内のサーベイランスではまだ多くは報告されていませんが、広島県全体では発症数は増加しています。マイコプラズマ感染症は発熱、咳の症状が主体です。多くの人は咽頭炎、気管支炎程度で自然に回復しますが、10%程度の人は肺炎にまで進行し、発熱、咳が持続します。特に2~4週間と長く続く頑固な咳が特徴です。もし、そのような症状に該当するような場合は、かかりつけ医に相談してください。
マイコプラズマは感染した人のせきからの飛沫や、直接的な接触で感染すると言われていますが、短時間の接触による感染拡大の可能性はそれほど高くなく、濃厚接触による感染することが多いと考えられています。流行時には家庭、学校では、普段から流水と石けんによる手洗いをすることが大切です。また、感染者とのタオルの共用は避けましょう。そしてせきの症状がある場合には、マスクを着用するなど"咳エチケット"を守ることが重要です。
今月のトピック
秋なのに
朝晩涼しくなるとカゼをひくお子さんも増えてきますが、鼻水・鼻づまりだけでなく目もかゆくなるお子さんは花粉症かもしれません。
花粉症はスギ・ヒノキによる花粉症が代表的で春に発症する方が多いですが、秋も9,10月に道路沿いや空き地などに生えているブタクサやヨモギなどの雑草の花粉により花粉症になる方がいます。また今年のように秋の気温が異常に高かった場合には、狂い咲きと呼ばれる季節外れのスギの開花現象によってスギ花粉が飛散することがあります。スギ花粉に敏感な方は秋にもスギ花粉症になることがあります。
ブタクサやヨモギの花粉はスギやヒノキに比べて花粉の飛散距離が数十メートルと短いので、草むらなどに近づかないように気を付けるだけでも症状が改善します。お子さんの遊ぶ場所に雑草が生えていないか注意してあげてください。
お子さんが秋の花粉症か心配な時は、かかりつけの先生に相談してください。血液検査や鼻の検査を受けることで花粉症の診断・治療が可能です。
文責:福山市医師会 学校保健委員 齋藤 洋
おくすり一口メモ
乳幼児の発熱時に使うお薬の注意点(その②)~解熱剤の効果が出る目安時間~ -福山市薬剤師会-
乳幼児の発熱に対して使用する解熱剤の効果が出るまでの時間は、一般的に投与後30分から1時間ほどです。具体的には、アセトアミノフェンの場合は30分から1時間で効果が現れ、2~4時間程度その効果が持続します。
一方、イブプロフェンはやや遅く、効果が現れるまでに約1時間かかりますが、持続時間はアセトアミノフェンよりも長く、約6~8時間効果が期待されます。
解熱剤を使用してもすぐに体温が下がらない場合、焦らずに経過を観察しましょう。発熱は体が病原菌と戦っている証拠であるため、体温が少し高い状態であれば、必ずしも解熱剤を使う必要はありません。薬が効かないからといって、短時間で再投与することは厳禁です。過剰投与による副作用のリスクが高まるため、適切な服用間隔を守りましょう。
次回は、解熱剤の副作用について詳しく解説します。