一般社団法人 福山市医師会

【いきいき健康メール】を更新しました(2025年5月号)

  • 医療関係のみなさま
  • 市民のみなさま
  • いきいき健康メール
  • 健康コラム

感染症情報

◎RSウイルス感染と気管支喘息

ウイルス感染症は、喘息の発症や悪化に大きく関わっています。

RSウイルス感染症は2024年は7月ごろ流行しましたが、2025年は1月から増加傾向ですからこれからさらなる流行に注意です。

さて、3歳までにRSウイルスやライノウイルスに感染すると、6歳ごろの喘息発症リスクが高くなることがわかっています。RSウイルスは2.6倍、ライノウイルスでは約10倍もリスクが上がります。動物実験ではありますが、妊娠したラットにRSウイルスを感染させると、胎児の肺からウイルスが見つかることもあり、妊娠中の感染予防が重要で、ワクチンもあります。

RSウイルスはインフルエンザのような強い症状はでませんが、この軽い症状が実は喘息症状をひどくさせます。RSウイルス感染は体内のロイコトリエンという物質を増やし、気管支の炎症や敏感さを強めるからです。

また気管支喘息の方はRSウイルスに何度も感染したら、だんだんウイルスが体内で増えやすくなり、症状が悪化しやすくなります。これは喘息にともなう体の免疫反応の変化が原因と考えられています。

RSウイルス感染症は小児と50歳以上の中高年の方が罹患すると重症となることがあるのでお孫さんを面倒みている方は、風邪に注意してくださいね。

文責:福山市医師会 感染症対策委員 高尾 和志

今月のトピック

◎五月病

昔から学生や新入社員などがこの時期に心身のバランスを崩してしまうことを五月病と呼んだりします。医学的には適応障害、状況によってはうつ病という診断にあたります。

適応障害になる原因のほとんどはストレスによるものです。ただ、同じ出来事であっても人によって受けるストレスの程度は異なりますし、誰かから何か嫌なことをされた、つらいことがあったといったようなことだけが原因とは限りません。天気や気温の変化、騒音などの生活環境によるものなども原因となる可能性があります。職場の人間関係の悩み、就職や転職による環境の変化、ワンオペ育児なども適応障害を発症させる可能性があるストレスとして日常生活でよくあるものです。

適応障害の治療としては基本的に薬物治療を行うことはなく、まずはストレスの原因を突きとめてゆきます。ストレスの原因を突き止め、環境調整を行うことが最も重要とされています。しかし、本人だけではストレスの原因を突きとめたり環境調整を行うことは難しい場合があり、必要時には家族や職場の上司、医師等でサポート体制を整えることも重要です。

文責:福山市医師会 広報委員 西川 敏雄