一般社団法人 福山市医師会

いきいき子育て支援情報(2025年6月号)

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最近の感染症情報

現在、福山市内にて小児の間で流行している感染症を、感染頻度の高い疾患順にお知らせします。

  1. 急性呼吸器感染症       増加傾向
  2. 感染性胃腸炎         増加傾向
  3. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎   増加傾向
  4. インフルエンザ        横ばい
  5. 突発性発しん         横ばい
  6. 伝染性紅斑          横ばい
  7. 水痘             横ばい

 続いて、流行性耳下腺炎、RSウイルス感染症などが少数報告されています。

*百日咳の感染者がふえています

 百日咳は『百日咳菌』が原因で起こる感染症です。激しい咳の発作と数週間以上続く咳が特徴です。1歳未満の子は重症化しやすく、息を吸う前に咳が出てしまうため呼吸困難に命に関わる状況になることがあるので注意が必要です。
 百日咳を予防するワクチンには4種または5種混合ワクチンがあり、この中に百日咳ワクチンが含まれています。通常、生後2ヶ月から2歳までの間に4回接種しますが、まずこの期間にできるだけ早く、しっかりワクチンを受けておくことが重要です。20250606_002.png一方で、百日咳の抗体(抵抗力)はワクチン接種後4-5年程度で弱まってしまうことがわかっており、5歳ごろからは感染しやすくなります。大人も百日咳にかかる場合がありますが、『単なるかぜ』と思い見過ごされているかもしれません。感染した場合は新たな感染源となり、もしワクチンをうけていない新生児や乳児が同居者であったり、そばにいる環境であったりした場合はうつしてしまう可能性があります。
 日本小児科学会では任意接種にはなりますが、就学前、または乳児に関わる全ての人に対して百日咳含有ワクチンの追加接種を推奨しています。現在、ワクチンが品薄になっている事情もありますが、もし接種を考えてみたいと思われる場合は、かかりつけ医にご相談ください。

文責:福山市医師会 理事 荒木 徹

今月のトピック

子どもの心の病気

 お子さんの心の変調に対して親御さんとしては、まだ子どもだからとなかなか受け入れられない方が多いと思いますが、治療が遅れると後々大きな問題が起るおそれがあるので、子どもの心の病気としてどんなものがあるか知っていたほうが良いでしょう。

 以下のようなものがあります。
 うつ病、不安障害、統合失調症、適応障害、双極性障害、チック症。20250606_003.png
 うつ病は気分の落ち込み、意欲低下、不眠、イライラ等の症状があります。
 不安障害は不安から身体の不調、強迫症状、不安発作、自傷等の症状が出ます。
 統合失調症は思春期から中年期に起るが、小児でも幻聴等の症状を訴えることがあります。
 適応障害は身体症状や軽度のうつ症状があり、ストレス因が無くなると軽くなったり、無くなります。
 双極性障害はうつ症状が長く続き、その後躁症状が出ることが多く、高校生頃から時にみられます。
 チック症は身体の一部の速い動き(まばたき、顔をしかめる、首を振る等)の運動性チックや音を出す(鼻を鳴らす、舌を鳴らす等)音声チックがあります。

文責:福山市医師会 学校保健委員 大谷邦彦

おくすり一口メモ

小児用ビタミン剤の選び方と注意点(その①)~ビタミンの役割と必要性~ -福山市薬剤師会-

 ビタミンは子供の成長や健康維持に欠かせない栄養素です。体内ではほとんど作ることができないため、食事からの摂取が基本となります。
たとえば、ビタミンAは視力や皮膚の健康を保ち、ビタミンDは骨の成長に不可欠です。ビタミンCは免疫力の維持に役立ち、ビタミンB群はエネルギー代謝や神経の発達に関与しています。

20250606_004.png 子供は大人に比べて必要量が少ないものの、成長期にはバランスよく摂取することが重要です。食が細い、偏食がある、病後などで食事からの摂取が不十分な場合には、栄養補助としてビタミン剤が医師より処方されることもあります。市販のサプリメントなどで補いたい場合は摂取目安量を確認して摂取するようにしましょう。特に脂溶性ビタミンと呼ばれるビタミンA、D、E、Kの過剰摂取に注意が必要です。その他の水溶性ビタミンは体内に蓄積はしにくく過剰分は排泄されますが、副作用の報告もありますので摂取目安量を守りましょう。

 基本は規則正しい食生活。まずは毎日の食事を見直すことが、ビタミン不足を防ぐ第一歩です。次回移行で、市販されている小児用ビタミン剤の種類と効果、適切な選び方、過剰摂取のリスクなどをご紹介します。