【いきいき健康メール】を更新しました(2025年6月号)
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感染症情報
◎百日咳
現在、百日咳が全国的に流行しています。百日咳はボルデテラ・パターシス菌による細菌感染症で、激しい咳発作が特徴です。子供が感染しやすいのですが、近年は10歳から19歳までの年長児から大人で増加傾向がみられています。初期には鼻水や微熱を伴う風邪に似た症状ですが、咳が数週間から数か月続き、夜間に激しくなることが多いです。乳児は重症化しやすく、肺炎や無呼吸発作を起こすこともあるため注意が必要です。大人では典型的な症状が出にくいため、軽症のまま周囲に感染を広げてしまうことも少なくありません。
感染は飛沫や接触で広がります。2025年は全国で過去最高の報告数となっています。また、抗菌薬が効きにくい耐性菌の報告も増えており、注意が必要です。
予防にはワクチン接種が有効です、小児期には四種混合ワクチンとして定期接種が行われていますが、年数の経過とともに免疫は低下します。定期接種を受けていない方や、接種から年数が経過した方は、免疫力が低下して発症することがあります。
咳が長引く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。特に小さなお子さんやご高齢の方がいるご家庭では、手洗い、マスク、咳エチケットなどの感染予防に心がけてください。
文責:福山市医師会 感染症対策委員 吉田 敬
今月のトピック
◎梅雨とうつ
6月に入り、今年もまた、じめじめとした梅雨の季節がやってきました。先日、福山で開催された世界バラ会議が終わり、ほっと一息つかれた方も多いと思います。雨の日が増えると外出の予定のある方は天気予報を見ながら気を揉まれていることでしょう。
私の専門領域である精神科では、一般的に特定の月に相談者が増える傾向があり、特に3の倍数の月は注意が必要です。6月もその一つで、梅雨入りによる日照時間の低下や気圧の変化が、心のバランスを崩しやすいためと考えられます。ちなみに、3月は年度末の別れや卒業、9月は夏バテや台風シーズンによる気圧変化、12月は年末のイベント続きとクリスマスの寂寥感など、それぞれの月に特有の要因が影響しているようです。
6月は梅雨という季節の変わり目でもありますが、いわゆる"5月病"の方が医療機関に相談する決心が固まる時期でもあります。そのような方は、薬物療法よりもむしろ環境調整が治療の大きなポイントになられる方も少なくありません。ではそんな気持ちからスッキリするにはどんな行動が良いのでしょうか。
古くから気分転換には運動が良いとされていて、室内で手軽にできる軽い運動や、体操、ストレッチなどがおすすめです。一人で行うよりも、複数人で一緒に行う方が継続しやすいでしょう。最近では、YouTubeなどで多くの体操動画が公開されていますので、活用してみるのも良いかもしれません。また、運動に加えて、リラクゼーションも有効な手段です。自宅の照明を調整したり、音楽を聴いたり、部屋の掃除をするなどリラックスできる環境を意識的に整えることも良いとされています。
そして6月には父の日という大きなイベントがあります。他者への貢献や贈り物には受け取る側も、贈る側にも幸福感の向上や共感力の向上、生きがいや自己肯定感の向上といったポジティブな効果があります。もし最近元気がないなと感じていたら、日頃お世話になっているお父さんや大切な方に、感謝の気持ちを行動で表してみてはいかがでしょうか。きっと心が温かくなって、元気が湧いてくるのを感じられるはずですよ。
文責:福山市医師会 広報委員 大林 芳明