一般社団法人 福山市医師会

いきいき子育て支援情報(2025年7月号)

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最近の感染症情報

現在、福山市内にて小児の間で流行している感染症を、感染頻度の高い疾患順にお知らせします。

  1. 急性呼吸器感染症       減少傾向
  2. 感染性胃腸炎         減少傾向
  3. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎  横ばい
  4. 流行性角結膜炎        減少傾向
  5. 伝染性紅斑          横ばい
  6. インフルエンザ        横ばい
  7. 突発性発しん         横ばい

 続いて、新型コロナウイルス感染症、RSウイルス感染症 などが少数報告されています。

*マダニ被害とマダニによる感染症

 7月になり夏休みも間近になり、屋外で活動することも増えてきますが、その中で注意するにマダニによる被害があります。
 マダニは、イエダニと異なり野山や河川敷や街中の公園などに生息しています。草むらや葉っぱの裏などに潜み、そばを通ったヒトや動物に移り、吸血する場所を探します。犬や猫などの体に付着していることもあります。マダニは数日~10日間かけて血を吸い続けますが、気づかないことも多いので、特に野山に入った日は、わきの下・足のつけ根・手首・ひざの裏・胸の下・頭などにマダニがいないかチェックしてください。
 もし見つけた時、マダニの体を無理やり引っ張ると刺さったマダニの口器が皮膚に残ってしまうので、みつけた時には医療機関を受診して、取り除いてもらうのが良いでしょう。
 また、ごく一部のマダニには、「日本紅斑熱」「重症熱性血小板減少症候群」という重大な病気の原因になる病原体を持っていることがあります。かまれた後に数日から2週間の間に体調が悪くなった場合は、必ずかかりつけに相談してください。

文責:福山市医師会 理事 荒木 徹

今月のトピック

小児の百日咳

 百日咳の流行が拡大しています。
 百日咳は百日咳菌による感染症で、乳幼児やワクチン未接種の小児では重症化しやすく、特に注意が必要です。
 症状は軽い咳、鼻水、発熱などで始まり、徐々に咳が激しくなり呼吸困難、肺炎、脳炎を起こすことがあります。乳幼児や重症例では入院が必要になる場合もあります。感染力が非常に強く、咳やクシャミによる飛沫感染で広がります。最も有効な予防法はワクチン接種であり、定期接種をきちんと受けることが大切です。
 診断は症状や患者との接触歴、血液検査、菌培養、鼻咽頭拭い液のPCR検査などで行います。
 治療の基本は抗菌剤(マクロライド系)の投与であり、早期に適切な抗菌剤を投与することで症状の悪化を防ぎ、感染力を低下させることができます。家庭でのケアは安静を保ち、水分補給を十分に行い、食事は消化の良いものを与えましょう。
 百日咳はワクチンで予防できる病気です。お子さんのワクチン接種スケジュールを確認し、適切な時期に接種を受けましょう。もし百日咳のような症状がみられた場合は、早めに医療機関を受診してください。

文責:福山市医師会 学校保健委員 日野二郎

おくすり一口メモ

小児用ビタミン剤の選び方と注意点(その②)~小児用ビタミン剤の種類と効果~ -福山市薬剤師会-

 市販の小児用ビタミン剤には、単一成分のものから複数のビタミンやミネラルを配合した総合タイプまで多種多様です。以下に代表的なビタミン・ミネラルとその主な働きをご紹介いたします。

成分
主なはたらき
ビタミンA
視力維持、皮膚や粘膜の健康を保つ
ビタミンB群(B1, B2, B6, B12)
エネルギー代謝、神経や皮膚の健康維持
ビタミンC
抵抗力の維持、鉄の吸収促進
ビタミンD
骨の成長促進、カルシウム吸収を助ける
ビタミンE
細胞の酸化予防(抗酸化作用)
ビタミンK
血液の凝固を助ける
葉酸
赤血球の生成、胎児の発育にも重要

赤血球をつくる材料、貧血予防
カルシウム
骨や歯の形成、神経や筋肉の働きを助ける

 これらは食事での摂取が基本ですが、成長期や偏食、病後などで不足する場合は、目的に合ったビタミン剤で補うこともあります。
 次回は、製品の選び方や過剰摂取への注意点を紹介します。