一般社団法人 福山市医師会

【いきいき健康メール】を更新しました(2025年7月号)

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感染症情報

◎HIVとともに生きる人々

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の原因ウイルスが発見されてから40年以上が経ちました。かつては治療薬もなく、AIDS(後天性免疫不全症候群)と呼ばれる進行した病状となり、死を待つしかない病でした。2025年現在、1日1回の飲み薬や2か月に1回の筋肉注射で血液中のウイルスを抑えることができ、AIDSを発病することなく、多くの人々が寿命を全うできる時代になりました。

HIVに感染してしまった患者さんをPLWH(People Living With HIV: HIVとともに生きる人々)と呼びます。この言葉はHIVに感染した人は「患者」であるだけではなく、物事や価値を生み出し、発展を促す生活を送ることができる事実を反映しています(国連合同エイズ計画2015)。HIVとともに生きる人を患者である前に一人の生活者として捉える必要があることがわかります。

人は生涯のうちに数えきれないほどの感染症にかかり、成長し、老化し、やがて死を迎えます。多くの人がかかったコロナウイルスも、まれなHIVもその中の一つであるに過ぎず、これからも人類はウイルスと共存し生きていくのです。

文責:福山市医師会 感染症対策委員 齊藤 誠司

今月のトピック

◎熱中症

(1)熱中症の症状

熱中症は、暑い環境で体温調節がうまくできなくなり、体内の水分や塩分のバランスが崩れることで起こります。初期症状としては、めまい、立ちくらみ、頭痛、吐き気、体のだるさ、足がつる(筋肉のけいれん)、大量の汗、唇のしびれ、脈が速くなるなどがみられます。

症状が進行すると、嘔吐や強い倦怠感、体温の上昇、意識障害(呼びかけに反応しない、言動がおかしい、意識がもうろうとする)など、命に関わる重い状態になることもあります。

(2)熱中症の予防策
熱中症は正しい予防策で防ぐことができます。

・のどが渇く前にこまめに水分をとる。大量に汗をかいた時はスポーツ飲料や経口補水液などで塩分や電解質も補給する。
・室内ではエアコンや扇風機で室温を28℃以下に保ち、風通しを良くする。
・屋外では帽子や日傘を使い、直射日光を避け、日陰を選んで行動する。
・通気性・吸水性の良い服を着る。首元を冷やすなど冷却グッズも効果的。
・暑い日は無理をせず、こまめに休憩をとる。

少しでも体調に異変を感じたら、すぐに涼しい場所に移動し、水分・塩分補給と安静を心がけましょう。

文責:福山市医師会 広報委員 大江 啓史