一般社団法人 福山市医師会

いきいき子育て支援情報(2025年9月号)

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最近の感染症情報

現在、福山市内にて小児の間で流行している感染症を、感染頻度の高い疾患順にお知らせします。

  1. 急性呼吸器感染症      減少傾向
  2. 感染性胃腸炎        減少傾向
  3. 新型コロナウイルス感染症  増加傾向
  4. ヘルパンギーナ       減少傾向
  5. 伝染性紅斑         横ばい
  6. RSウイルス感染症     横ばい
  7. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 減少傾向

 続いて、流行性角結膜炎、突発性発しん などが少数報告されています。

*ケガと破傷風

 ケガをしたときに注意が必要な病気に「破傷風」があります。破傷風とは破傷風菌から発生する毒素によっておこる病気です。破傷風菌は土壌の至るところに存在します。ケガの傷口が土で汚れたままになっていたり、古い釘や切り株を踏み抜いたり、土に触れる犬、猫、蛇などの動物にかまれた時などで注意が必要です。もし発症すると、筋肉のこわばりや呼吸困難、けいれんなどから重症化して命に関わる場合もあります。
 こどもの場合はまずワクチンで予防することが大事です。生後2ヶ月からの5種混合ワクチンには破傷風ワクチンが含まれ、合わせて4回接種します。また、11歳で2種混合ワクチン(破傷風ワクチンを含む)を追加します。効果は10年間は持続するとされます。
 ただ、最後の破傷風ワクチンを接種から10年以上たってから傷を負った場合は、ワクチンの効果が落ちている場合があるので、追加のワクチン接種が必要になる場合があります。気になるケガをした場合はかかりつけ医に相談してください。

文責:福山市医師会 理事 荒木 徹

今月のトピック

近視を進行させないために

 20250901_002.webp教科書であれ携帯電話であれ、近くを見る作業によって近視が進行するリスクが上昇します。30分間、近くを見る作業をしたら休憩を入れましょう。面白いことに屋外での活動時間が長いほど、つまり太陽の下で遊ぶほど近視の進行を遅らせる効果があることが近年の研究で示されています。多焦点ソフトコンタクトも近視を抑制する効果がありますが、残念ながら日本では近視抑制を謳うコンタクトは認可されていません。薬物療法としてアトロピン点眼がありますが、保険適応は無く自費となりますので経済的負担が高くなります。以上のことは近視の進行を遅らせる効果で、今ある近視を改善する事ではありません。次に近視抑制に効果が無いとされているものですが、わざと弱めの眼鏡を作ってみたり、ブルーライトカット眼鏡にしても近視抑制の効果はありません。また通常のソフトコンタクトやハードコンタクトの方が眼鏡より近視を遅らせると言う事もありません。

文責:福山市医師会 学校保健委員 坂本郁夫

おくすり一口メモ

お子様のアレルギーとお薬について(その①)~子供のアレルギーの種類と症状~ -福山市薬剤師会-

 子供に見られるアレルギーには、食物アレルギー、花粉症、アトピー性皮膚炎のほか、気管支ぜんそく、ハウスダストやダニによる鼻炎、動物や薬剤によるアレルギーなどがあります。原因や症状はさまざまなので、代表例を3つ紹介します。

 食物アレルギーは卵や牛乳、小麦、甲殻類などが原因となり、発疹や腹痛、呼吸困難を引き起こすことがあります。重症の場合はアドレナリン自己注射薬が処方されることもあり、迅速な対応が必要です。
花粉症はスギやヒノキの花粉により、くしゃみ・鼻水・目のかゆみが現れます。抗ヒスタミン薬や点鼻薬が主に用いられ、服薬により症状を抑えられやすいです。
アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能が弱くなっていて、湿疹やかゆみが慢性的に繰り返されます。保湿剤を基本に、症状に応じてステロイド外用薬などが使われます。

 いずれも薬だけでなく、原因物質の回避と生活環境の工夫が大切です。ドロップスクリーンという微量の血液で何のアレルギーを持っているのかがわかる検査機器もあるので、取り扱いのある医療機関を検索してみてください。次回は具体的な治療薬について解説します。