一般社団法人 福山市医師会

いきいき子育て支援情報(2025年10月号)

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最近の感染症情報

現在、福山市内にて小児の間で流行している感染症を、感染頻度の高い疾患順にお知らせします。

  1. 急性呼吸器感染症       増加傾向
  2. 新型コロナウイルス感染症   横ばい
  3. 感染性胃腸炎         横ばい
  4. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎  横ばい
  5. ヘルパンギーナ        横ばい
  6. 流行性角結膜炎        減少傾向
  7. 伝染性紅斑          減少傾向

続いて、RSウイルス感染症、マイコプラズマ肺炎などが少数報告されています。

*今年もインフルエンザ予防接種の時期になりました

 今年もインフルエンザの予防接種の時期になりました。全国では既に流行が始まったと報道されている地域もあります。福山市では流行までは進んでいませんが、各医療機関からの発生報告もパラパラとみられています。福山市医師会では松永沼隈・府中・深安地区医師会からの情報も含めて、福山地区のインフルエンザ発生件数の集計を行い、リアルタイムに情報を提供しております。ホームページトップの『市民のみなさま』から入って『インフルエンザ情報』の中をご覧ください。
 さてインフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気で、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が特徴で、肺炎や脳症を起こして生命にかかわる重症な状態になることがあり、やっかいな病気であることは間違いありません。
 インフルエンザワクチンは接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではありませんが、全体で60%程度、乳幼児では20~60%程度の発症予防効果があり、重症化予防にも役に立つとされていますので、是非、接種することを検討してもらいたいです。昨年からは注射タイプのワクチンに加えて、2歳から18歳までの子どもには、鼻スプレータイプのワクチンも使用できるようになりました。接種回数はシーズンごとに1回で、注射の痛みをいやがる子どもでも使えるのが大きな利点です。
 ただし、今までの注射タイプのワクチンは毒性をなくした『不活化ワクチン』であるのに対して、鼻スプレーのワクチンは毒性の弱いウイルスを使った『生ワクチン』であることに注意が必要です。飛沫又は接触によりワクチンウイルスの水平伝播の可能性もあり、喘息や免疫不全の方、周囲に授乳婦や免疫不全の方がいる場合などは、今までの注射タイプのワクチン接種が勧められています。詳しくはかかりつけ医に相談ください。

文責:福山市医師会 理事 荒木 徹

今月のトピック

乳児のお肌と食物アレルギー

 ひとの体には口から入ったものにはアレルギーを起こしにくくするしくみがあり、これを「経口免疫寛容」といいます。一方、皮膚には異物をアレルゲンとして認識するしくみがあり、これを「経皮感作」と呼びます。皮膚から卵などの食物アレルゲンが侵入することでアレルギーが成立し、その後その食品を食べた際にアレルギー反応を起こすことがあります。乳幼児は皮膚のバリア機能が未熟なため、特に注意が必要です。肌が荒れたり乾燥したりするとバリア機能が低下し、アレルゲンが侵入しやすくなります。ワセリンなど保湿・保護剤を毎日塗り、しっとりしたお肌を保ちましょう。湿疹やかゆみがあると皮膚の隙間からアレルゲンが入りやすくなります。症状がある場合は早めに小児科や皮膚科を受診し、適切な治療を行いましょう。また、特定のアレルゲン摂取を遅らせるよりも、少量ずつ摂取する方がアレルギー予防に有効とされています。発症してしまった場合には制限が必要となることもありますが、離乳食の開始や卵などの摂取を遅らせても食物アレルギーの予防にはなりません。

文責:福山市医師会 学校保健委員 木村眞人

おくすり一口メモ

お子様のアレルギーとお薬について(その②)~アレルギー治療に使われるお薬~ -福山市薬剤師会-

 お子様のアレルギー治療には、症状や原因に合わせていくつかのお薬が使われます。まず基本となるのが抗ヒスタミン薬です。鼻水やくしゃみ、かゆみを抑える働きがあり、花粉症やじんましんなどで広く使われます。最近は眠気が出にくいタイプも増え、学校生活への影響も少なくなっています。

 ステロイドは炎症を強く鎮める作用があります。皮膚の赤みやかゆみには塗り薬が、気道の炎症には吸入薬が使われることがあります。内服薬は必要な場合に短期間だけ処方されることが多く、副作用に注意が必要なため医師の指示を守って使いましょう。
 そのほかにも、皮膚を守る保湿剤、強い食物アレルギーに備えるアドレナリン自己注射薬(エピペン®)などがあり、症状に応じて使い分けられます。
 さらに近年では、従来のお薬で十分な効果が得られない重症のアトピー性皮膚炎やアレルギー性ぜんそくに、生物学的製剤(注射薬)が導入されることも増えてきました。体の炎症反応をピンポイントで抑える新しい治療法です。
 いずれのお薬も自己判断せず、医師の指示を守って正しく続けることが大切です。気になることがあれば、必ず主治医や薬剤師に相談しましょう。