いきいき子育て支援情報(2025年12月号)
- 医療関係のみなさま
- 市民のみなさま
- いきいき子育て支援情報

- 咳が2週間以上つづくカゼは百日咳かもしれません
- 嘔吐や下痢をしているときにおすすめの飲み物と食べ物
- 子供の風邪に使う市販薬の知っておくべきポイント(その①) ~症状に合った薬を選ぶことが一番大切 -福山市薬剤師会-
最近の感染症情報
現在、福山市内にて小児の間で流行している感染症を、感染頻度の高い疾患順にお知らせします。
- 急性呼吸器感染症 増加傾向
- インフルエンザ 増加傾向
- 感染性胃腸炎 増加傾向
- A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 横ばい
- 流行性角結膜炎 横ばい
- RSウイルス感染症 減少傾向
- 伝染性紅斑 横ばい
続いて、新型コロナウイルス感染症、マイコプラズマ肺炎などが少数報告されています。
*咳が2週間以上つづくカゼは百日咳かもしれません

百日咳は『百日咳菌』が原因で起こる感染症です。激しい咳の発作と数週間以上続く咳が特徴です。1歳未満の子は重症化しやすく、息を吸う前に咳が出てしまうため呼吸困難に命に関わる状況になることがあるので注意が必要です。仮に百日咳と診断された場合、発症してから1~2週間の早い時期であれば、抗菌薬により症状を軽くすることが期待でき、今までは『マクロライド』というタイプの抗菌薬を使うことが勧められていました。ただし、発症1~2週間のころの症状は、百日咳の特徴である咳発作ではなく、ふつうのカゼと変わらず区別がつかないことが難しいところです。さらに、今年の百日咳では『マクロライド』抗菌薬が効かない百日咳菌が多数を占めており、治療がさらに難しくなる恐れがある、と注意がよびかけられています。
赤ちゃんへの感染経路としては同居家族からの感染が多いと考えられます。厄介なのは、大人は百日咳菌に感染しても『ただのしつこいカゼ』程度で済むことが多く、知らず知らずのうちに家庭内で赤ちゃんにうつしてしまうことがある点です。大人でも、咳が2週間以上続くしつこいカゼ、と感じた場合は百日咳の可能性も考えて、マスク着用などの感染対策をして、医療機関で診断を受けましょう。
そして、赤ちゃんへの一番の感染対策はワクチンです。百日咳を予防するワクチンには4種または5種混合ワクチンがあり、この中に百日咳ワクチンが含まれています。通常、生後2ヶ月から2歳までの間に4回接種しますが、まずこの期間にできるだけ早く、しっかりワクチンを受けておきましょう。
文責:福山市医師会 理事 荒木 徹
今月のトピック
嘔吐や下痢をしているときにおすすめの飲み物と食べ物
冬は胃腸炎が流行しやすい季節です。お子さんが吐いたり下痢をしているときには胃腸にやさしい飲み物や食べ物を少しずつあげましょう。
胃腸炎にかかると体から塩分が失われますので、飲み物は塩分を含む経口補水液やスポーツドリンクをティースプーン1杯(5ml)ずつ数分おきに飲ませてあげましょう。みそ汁の上澄みをお湯で半分に薄めたり、薄めの重湯に塩をひとつまみ加えてもいいでしょう。ジュースや炭酸飲料・コーヒー・紅茶・緑茶はよくありません。
嘔吐が落ち着いたら消化の良いごはんにしましょう。脂っこい食事や甘いお菓子はやめましょう。嘔吐が落ち着いたら母乳やミルクは早めに再開しましょう。ミルクを薄める必要はありませんが、下痢が長引くときは乳糖を含まないミルクに変更するのもいいでしょう。
文責:福山市医師会 学校保健委員 齋藤 洋
おくすり一口メモ
子供の風邪に使う市販薬の知っておくべきポイント(その①)~症状に合った薬を選ぶことが一番大切~ -福山市薬剤師会-

子供の風邪に使われる市販薬として代表的なのが総合感冒薬です。鼻水・せき・熱など複数の症状に対応できるよう、抗ヒスタミン薬(鼻水)、鎮咳薬(せき)、去痰薬(痰)、解熱鎮痛薬(発熱・のどの痛み)など複数の成分が一つに含まれています。
しかし、風邪といっても「鼻水だけ」「のどが痛いだけ」など症状はさまざまです。にもかかわらず、必要のない成分まで一緒に服用すると、副作用のリスクが増えることがあります。例えば眠くなりやすい成分が含まれている薬を、鼻水がないお子さまに与える必要はありません。
市販薬には、総合感冒薬以外にも
熱だけを和らげる薬
せきを抑える薬
痰を出しやすくする薬
鼻水を抑える薬
など、症状別に選べる製品も多くあります。
症状が1つだけなら、その症状に合う薬を選ぶことが基本です。
また、子供用の薬は飲みやすい味に調整されていますので、基本はそのまま服用を。シロップは開封後なるべく早く使い切り、子供の手が届かない涼しい場所に保管しましょう。
迷ったときは、症状を整理して薬剤師に相談してください。お子さまに最も適した薬を選ぶお手伝いができます。
