いきいき健康メール (2013年9月号)
2013年9月10日発行号
◎B型肝炎ワクチンについて
B型肝炎ウイルスに感染すると、一部の人がキャリア(持続感染:ウイルスを
体内に保有した状態)となり、キャリアのうち約10%の人は慢性肝炎を発症し
、肝硬変、肝臓がんへと進行する可能性があります。肝硬変になると3人に1人
が肝臓がんを発症します。そのため、B型肝炎ワクチンは、「肝臓がん」の予
防ワクチンといわれています。
キャリアである母親から出生児への感染(垂直感染)を予防する目的で、19
86年から母子感染予防策が実施され、母子感染は激減しました。しかし近年、
キャリアである父親から子供への感染(水平感染)や感染経路不明で乳幼児が
B型肝炎ウイルスに感染する例が増えています。
さらに、B型肝炎ウイルスの遺伝子型ですが、近年は欧米からの外来株であ
るA型が認められるようになり、感染によりキャリア化しやすく、この点が問
題となっています。
WHO(世界保健機関)は、1992年、世界中の子どもたちに対して、生まれた
らすぐにこのワクチンを国の定期接種として接種するように指示しており、ほ
とんどの国で定期接種になっています。これは、ユニバーサルワクチネーショ
ンといい、母子感染、父親などからの乳児期の水平感染、性交渉での成人の水
平感染を予防し、感染源の撲滅や肝硬変や肝臓がんなどによる死亡をなくそう
としています。
B型肝炎ウイルスの感染を防ぐ唯一の方法は、ワクチンを接種することです
。しかも、このワクチンは、低年齢で受けるほど抗体形成が良好です。最も望
ましいのは、生後2ヶ月のワクチンデビューの際に、ヒブ・肺炎球菌・ロタワ
クチンとの同時接種から始めることです。もちろん、乳幼児に限らず、抗体を
お持ちでない方には、積極的な接種をお勧めします。十分な免疫を獲得するに
は3回の接種を完了することが大事です。また、ワクチンの効果は10〜20年前
後とされており、その時期での追加接種が望ましいと思われます。