いきいき健康メール (2017年3月号)
2017年3月10日発行号
◎E型肝炎とジビエ料理
シカやイノシシ、野ウサギ、野生の鳥などを材料にした「ジビエ料理」が静
かなブームです。ジビエ料理のレストランもできて、より多くの人が楽しめる
ようになってきました。人気の背景には、食品衛生法に基づく、2012年7
月の「牛のレバーの生食の販売・提供の禁止」、又2015年6月の「牛や豚
の肉やレバー等内臓の生食販売・提供の禁止」により希少価値が高まったこと
があるようです。これらの生食が禁止されたのは、腸管出血性大腸菌による食
中毒やE型肝炎等による感染症が懸念されるからです。
E型肝炎はE型肝炎ウイルス(HEV)に感染して起こる急性肝炎で、慢性化す
ることはありませんが、2~9週間の潜伏期間を経て、黄疸、発熱、食欲不振、
肝機能の悪化などの症状が現れます。E型肝炎の予防は何よりもジビエを生で
は食べないことです。狩猟で獲れたばかりの新鮮な肉でもウイルスに汚染され
ているリスクは高いのです。新鮮かどうかは関係なく、必ず火を通した物を食
べましょう。
中国地方で捕獲されたイノシシの30~42%にE型肝炎の感染歴があるこ
とが分かりました。
厚生労働省でも野生鳥獣の衛生管理に関する検討会を行い『野生鳥獣肉の衛
生管理に関する指針(ガイドライン)を作成しました。
野生動物の肉は生で食べないように、又中心部まで火が通るように十分に加熱
して食べるように勧めています。
そうしたことでE型肝炎の予防ができると思われていましたが、最近肝臓学
会誌で、乾燥猪胆嚢(乾燥したイノシシの胆嚢:生肉ではない)からの感染が
疑われたE型肝炎の症例が報告されました。7~8年前から猪胆を猟師より入
手し、その粉末を冷水に溶き、それを生薬として飲用していてE型肝炎を発症
したとの内容です。このようにジビエ料理を生で食べなくてもE型肝炎を発症
することもありますので、ジビエ料理を食べた後、体がだるくなったり、肝炎
症状がある場合は直ちに専門医に相談してください。