いきいき健康メール (2017年3月号)
2017年3月10日発行号
◎寒い時期、関節の痛みはないですか?
中高年になると手指の関節に痛みを感じて、腫れてくることがあります。加
齢と共に、骨・軟骨の退行変性・老化が進行し、特に、女性は閉経後、骨粗鬆
症・変形性関節症(OA)を発症してきます。余分の骨が作られ、骨棘が形成
されると手指の第一関節にはヘバーデン結節(こぶ状のふくらみ)、第二関節
にはブシャールの結節が出来てきます。個人差はありますが、次第に、屈曲・
伸展不全を来し、細かい手作業に支障を生じます。OAは股・膝関節にも病変
が及び、最終的に人工関節置換術を施行せざるを得ない患者さんもあります。
OAと鑑別診断を要する疾患が「関節リウマチ(RA)」です。自己免疫と
いう免疫の異常が原因で発症する慢性の関節炎です。関節を包む滑膜に生じた
慢性炎症による肉芽の組織が、軟骨・骨を侵食して関節破壊が進み、最終的に
変形・機能障害をもたらす難病です。従来、40歳代の中年女性に多く発症す
るとされていましたが(男女比は1:4)、高齢化社会になり、60歳以上の
高齢発症も増加し、男女比が1:1と男性にも多く発症することが報告されて
います。
19世紀後半の印象派画家・ルノワールが、晩年、RAに罹患し、不自由な
がら、変形した手指で筆を取ったことがよく知られています。近年、医学の進
歩はめざましく、生物学的製剤と呼ばれている特効薬が開発され、発症早期か
ら治療すれば「治癒」も可能な時代になっています。早期発見、早期治療、専
門医への受診を心掛けましょう。