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【感染症情報】沖縄で麻疹ですが、それで良いですか?

いきいき健康メール (2018年5月号)
2018年5月10日発行号
◎沖縄で麻疹ですが、それで良いですか? 平成30年4月、沖縄での麻疹(はしか)の流行が生じています。流行の始まりは、 沖縄へ観光旅行に訪れた1人の外国人だったそうです。麻疹を発症した旅行者 は、感染に気が付かないまま観光地を移動し、周囲の人を感染させることにな りました。またその感染した人が別な人へと麻疹を広げるという感染の連鎖が 続き、4月14日までの患者数は52人となっています。 原因となる麻疹ウイルスは、「空気感染」を起こす非常に感染力の強い病原体 です。インフルエンザなどの「飛沫感染(ひまつかんせん)」では、くしゃみや 咳などの際に水分を含む重く大きな粒子が飛びますが、2m以内でほとんどの 粒子が床に落ちてしまいます。しかし、「空気感染」では小さく軽い粒子が空 中を長く浮遊し、同じ部屋の中にいるだけでも感染する可能性があります。 10~12日程度の潜伏期間を経て、麻疹を発症した初期には、鼻水、喉の痛み、 咳などの、風邪のようなごく軽い症状だけの時期(カタル期)があります。こ の3~4日間が、他者への感染力が最も強いのですが、典型的な発疹が出現して おらず、症状だけで麻疹を強く疑うことは難しいでしょう。この後、発疹が出 現(発疹期)しますが、3日ほどで高熱と発疹は回復へ向かいます。 麻疹には特別な治療法は無いため、ワクチン接種による予防は重要です。現在 は2回のワクチンの定期予防接種が義務化されていますが、昭和52年以前に生 まれた人、そして定期接種となっても1回接種のみの人の中に、十分な免疫を もっていない人が多く残っています。 残念なことですが、沖縄へ旅行した10代男性が、帰省先の名古屋市で麻疹と診 断されました。沖縄に4月上旬まで旅行した後、埼玉県内の学校に数日間通い、 発症後に東京・品川から新幹線で名古屋まで移動したそうです。必要以上の恐 怖を抱いてはいけませんが、注意は必要です。