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【感染症情報】低温調理には正しい方法が必要です

【いきいき健康メール】(2022年11月号)
2022年11月10日発行号
◎低温調理には正しい方法が必要です お肉は加熱しすぎるとおいしくなくなるため、最近は低温調理をうりにするお店もあるようです。ただし不十分な加熱により食中毒の危険性が増加します。 牛肉(レバーなど内臓を除く)に関しては、食中毒の原因となる腸管出血性大腸菌(O157など)やサルモネラ属菌は食肉の表面を汚染しており、表面の加熱で食中毒の発症リスクを低減できるとされ、牛肉のステーキは中心部がレアでも食べることができます。ただしハンバーグなどミンチ肉は全体が汚染される可能性があり中心部まで加熱が必要となります。 豚肉は食肉の内部までE型肝炎ウイルス、細菌(サルモネラ、カンピロバクターなど)、寄生虫などの病原体が存在しており、新鮮なら大丈夫というわけでなく、豚肉の生食は危険です。また鶏肉も、刺身やたたきなどでカンピロバクターによる食中毒が増加しています。 内閣府食品安全委員会のホームページに詳しく記載されていますので、一度確認していただければと思いますが、低温調理は正しい方法で温度と時間の管理が必要です。食肉の中心部まで衛生基準を満たす温度と時間をかけた場合と、加熱不十分な場合で、見た目では全く見分けがつきません。鶏肉での検証結果が記載されていますが、約300gで厚さ約3cmの鶏ムネ肉を低温調理器で調理する場合、63℃の温度を維持して加熱した場合に食肉の内部温度が63℃になるのに68分、そこから30分その温度を維持する必要があるため、合計100分ほどの調理時間が必要でした。 楽しいはずの食事で悲惨な結果を招かないよう注意していくことが必要です。 文責:福山市医師会 感染症対策委員 大多和 泰幸