いきいき健康メール (2016年3月号)
2016年3月10日発行号
◎ひとのうんちを、おなかの中に
最近、糞便移植が注目されています。便は水分が80%、残りの固形部分が20
%で、その固形分のうち、約3分の1を占めているのが細菌です。この細菌には
多くの種類があり、腸の中で多くの細菌がいる様子を、なんと、お花畑に見立
てて、'腸内フローラ'と呼んでいます。
最近の研究によって、バランスのとれた腸内フローラが腸管の免疫を活性化
し、私たちの健康維持を実現していることが分かってきています。そこで、潰
瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病など、通常の治療で治りにくいと考
えられている疾患に対して、この正常な便の腸内フローラを移植して治療する
という研究がおこなわれています。
実際のやりかたですが、健康な人から100gの便を提供してもらい、生理食塩
水と混ぜてフィルターでろ過します。この、ろ過した液体の中に、正常な腸内
フローラが存在します。この液体を内視鏡を使って患者さんの大腸内に移植し
ます。
現在、安全性に問題ないか?効果はあるのか? などを検証中です。
将来は、輸血の感覚で、便移植が行われるような時代が来るかもしれません
。今後の研究に期待しています。