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【感染症情報】2016年4月、"抗菌薬の適正使用に向けた提言"が日本化学療法学会ほか関 連7学会から出されました。

いきいき健康メール (2016年7月号)
2016年7月8日発行号
◎2016年4月、"抗菌薬の適正使用に向けた提言"が日本化学療法学会ほか関 連7学会から出されました。  近年、多剤耐性アシネトバクター属菌や、最も強力とされるカルバペネム系 抗菌薬に耐性の腸内細菌属菌(CRE)など、新たに抗菌薬耐性菌(以下耐性菌) の出現による難治症例の増加が世界的な問題となっています。この原因として 、耐性菌が世界に伝播しつつあることや、医療機関のみならず、養殖や畜産、 ペットに対しても、抗菌薬が濫用されていることが一因と示唆され、地球環境 全体における「One Health」の概念が提唱されています。  現代の高度な医療を遂行するためには、院内での感染症の発症を極力防ぎ、 いったん感染症が発症した場合は、適切な診断や治療によって、早期に治癒に 導くことが、耐性菌の伝播を防ぐためにも重要です。そのためには、医療機関 の基本的な機能として"院内感染伝播防止"と、"抗菌薬適正使用"を推進す る仕組みが必要です。我が国では前者の整備は進みつつありますが、後者の環 境整備が極めて遅れています。これは、安易または不適切な抗菌薬使用を防止 するために、特別な研修を受けた薬剤師をはじめ、医師や臨床検査技師、看護 師から構成される医療チームが不足しているからにほかなりません。また抗菌 薬の適正使用を支援する具体的手順が示されていないことも理由の一つです。 この克服には何よりも国民の皆様のご理解が不可欠です。耐性菌の脅威に立ち 向かうために、新たな抗菌薬適正使用支援のための仕組みが求められているこ とをご理解ください。