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【感染症情報】マスクのはなし

【いきいき健康メール】(2020年10月号)
2020年10月9日発行号
◎マスクのはなし 令和2年は年初からマスクの話題には事欠かない年となりました。 日本でマスクと言えば、鼻と口を覆う四角い白い布(最近では多彩ですが)を想像されるかたが多いと思われますが、英語ではそれらはfacial maskと称され、マスクは仮面に相当します。 仮面をつけることには、直接ものを遮る効果というよりも、呪術的な色合いが強いと思われます。仮面に宿る力で邪気を払う・避けるといった使われ方が主な目的のように思われます。 さて、いわゆる感染防止の観点でマスクが考案されたのは、1880年代のヨーロッパです。外科医らが細菌の創傷侵入を防ぐために無菌戦略を唱え、手だけでなく器具や術者の息も問題と疑い、ブレスラウ大学(現在はポーランドのヴロツワフ)外科主任ヨハン・ミクリッツ(1850~1905)らは、1897年から手術時にマスクを着用し始めました。この時考案されたのが、「2本のひもでつながれたガーゼで鼻と口とあごひげを覆うように顔をすくい取る」マスクです。マスクは次第に普及し、1935年頃にはほとんどの施設で基本的な手技と認知されるようになりました。 その後の変化としては、1930年代には医療用マスクの使い捨て紙マスク化と、1960年代の合成素材マスクの導入があります。昨今では新型コロナウイルスの感染拡大防止にも期待がかかりますが、マスクは飾りではありません。きちんと鼻と口を覆いましょう。あごの下にかける、口だけを覆うのでは、効果は期待できません。 文責:福山市医師会 感染症対策委員 淺野誉久